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日本株の下落とターム・プレミアム

2026年8月19日 00:49

本日、日本株はこれといった材料がないにもかかわらず売られました。長期金利の上昇が嫌気されたからです。投資家は、日本の長期金利に含まれる「ターム・プレミアム」が上昇していることを気にし始めています。

ターム・プレミアムとは、「将来の短期金利の水準予想だけでは説明できない、それを上回る、市場が要求する上乗せ分(プレミアム)」と定義できます。

これを説明するには、まず金利そのものについて述べておく必要があるでしょう。

一般に、金利が高いということは、「こいつは信用が置けない!」という貸し手の懐疑の強さを表しています。

たとえば「リボ債務に手をつけてはいけない!」とよく言われます。リボで借りると金利が高く、自己破滅への道だからです。リボの金利が高い理由は、それが無担保融資だからです。不払いの際、銀行は借り手の資産を差し押さえることができません。

また「サラ金に手を出してはいけない!」とも言われます。サラ金で借りなければならない人は信用力がないため、金利の低い普通の金融機関からは相手にされず、わざわざ高い利息を払って危ないカネを借りているのです。

してみると、金利が高いときには「なにかヘンなことがあるのではないか?」と疑う態度を持ってほしいです。

ターム・プレミアムの中身

ターム・プレミアムの説明に戻ると、ターム・プレミアムを分解する作業は、「毎年短期債を乗り換えながら向こう10年運用し続ける代わりに、10年債をぽんと買って、それを向こう10年抱き続ける動機は何か?」を探求することにほかならないです。

現在の米国10年債利回りが4.7%、FFレートが3.5%なら、その差の1.2%がターム・プレミアムということになります。このターム・プレミアムには、

  1. 「将来、政策金利は引き上げられるだろう」という金融政策に対する読み
  2. 「インフレでお金の価値が目減りするのだから、その分金利を弾んでくれなければ長期債など買いたくない」という気持ち

の両方が込められています。

10年債利回りはブルームバーグ端末を見ればすぐわかるけれど、ターム・プレミアムには「これが正解!」という誰の目にも明らかなレファレンス・ポイントが存在しません。だからエコノミストのモデルから逆算するわけです。つまり推計値にほかなりません。

過去の局面との比較

1987年ブラックマンデー直前の10年債利回りは9.5%、株式益回りは6.3%でした。あのときは春頃、債券の恐ろしいベアマーケットがありました。

ドットコム・バブル崩壊直前の10年債利回りは6.3%でした。株式益回りは3.4%でした。株バブルで、債券に比べ株式の魅力が大きく減退していた点が目を引きます。

リーマン・ショック前の10年債利回りは4.8%でした。一方、株式益回りは5.0%でした。つまりこのケースでは、金利と株式バリュエーションの釣り合いは取れていました。問題はそもそも返済能力の無い人にまで受託ローンを乱発した、クレジット(信用)管理の欠如にあったと思います。

2021年は新型コロナの直後ですが、10年債利回りは1.5%、株式益回りは4.3%でした。誰も経済成長を信じず、資金はSaaS、VC、プライベート・エクイティー、クリプトへ流入しました。ロング・デュレーションがちやほやされました。

現在の10年債利回りは4.7%、一方、株式益回りは4.0%です。従って債券と株式のバリュエーションはおおむねバランスが取れていると言えます。