投資戦略
2026年2月23日 13:09
投資戦略をアップデートします。
■最高裁がトランプ関税に違憲の判断を下した
先週米国の最高裁がトランプ関税に違憲判決を下しました。その理由はそもそも関税を課すかどうかは下院が「言い出しっぺ」となり、決議すべき事柄であり、大統領の気分ひとつで、大統領令を発することを通じ、関税をかけるのは憲法違反だからです。
今回問題になった関税はIEEPA(=アイーパと読みます。ひらたく言えば国家非常事態宣言みたいなも)が法的根拠となっていました。でも戦争状態に無い国に対してもそれを乱発するのはどうか? ということを最高裁は問題にしたわけです。
もうひとつ重要な点として「それじゃ今までに徴収した関税はどうなるの?」という点であり、この問題に関しては最高裁は何も言及しませんでした。つまり返金に関しては今後地方裁判所で個々のケースが争われる可能性があるということです。関税が戻って来るまでに5年くらいの歳月を要するという見方もあります。
その返金を議論する前に、トランプ大統領は他の方法で15%の関税を課すことを既に発表しています。つまり関税自体は無くなるのではなく、「置き換えられる」だけです。この新しい手法に関しても訴訟が起こり、再び大統領府が負けるリスクもあります。
つまり関税の行方は混沌としており、投資家はそのリスクをどう株価に反映させるべきかノー・アイデアになっているのです。
■イラン情勢
一方、米国とイランは核開発プログラムに歯止めをかけることをめぐって話し合いを続けています。イラン側を交渉のテーブルにつかせるため、米国は「武力行使も辞さず!」という姿勢を見せています。
トランプ大統領は武力を使う場合でも先のベネズエラへの攻撃のように、電撃的で局地的な攻撃に限定すると思われます。戦争が長引くようなことはやりたくないと考えています。
メインシナリオとしては、なにか攻撃があった場合でも株式市場への影響は限定的だと思います。なぜなら株価を気にするトランプ大統領はマーケットに悪影響を与えないようなやり方に限定すると思われるからです。
■AI投資のファンディングがグラグラしはじめている
このところプルー・アウル(OWL)に代表される、AI投資にファンディングを提供しているプライベート・エクイティ企業の株価が低迷しています。それらのPEファンドは過去数年ソフトウェア企業に大規模な投資を行ってきました。しかしAIが投資先企業の成長を阻害する懸念が出ており、ソフトウェア企業のバリュエーションの剥落が顕著です。
そのような環境の中、オープンAIが先週2025年の決算に関してコメントし、グロスマージンが当初予想していた46%から33%へ急低下したことを開示しました。普通のSaaS企業のグロスマージンは75%から90%近いことを考えると、AI企業は儲からないという印象を強く与えました。
その理由はCOGsが高いことによります。そうなってしまう理由は、クエリ当たりの演算量がとても多いこと、継続的な学習をさせる必要があること、途方もないスケールでモデルのホスティングを維持しなければいけないこと、半導体の償却負担などによります。
PEファンドはSaaSにもAIにも投資しているわけですが、AIがSaaSを侵食するということがもし本当に起こるのなら、「マージン的に儲からないビジネスが、ウハウハ美味しいビジネスを侵食する」わけで、これはテクノロジー投資全体を巨視的に眺めた際、セクターへのウマ味が損なわれることにつながります。
■米国売りは続く
そんなこんなで、米国は投資対象として以前ほど岩盤では無くなった印象があり、むしろ様々な不確実性から遠い位置にある新興国の魅力が相対的に増しています。
具体的にはバングラデシュ、タイランド、ベトナム、ブラジル、メキシコなどに妙味があります。
■予想
2026年末のS&P500のターゲットは5500を予想します。
2026年末のドル円は141円を予想します。
2026年末の10年債利回りは3.0%を予想します。
2026年末のフェデラルファンズ・レートは2.50%を予想します。
2026年末の失業率は4.7%を予想します。
2026年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。
2026年末のGDPは+0.0%を予想します。