投資戦略
2026年6月3日 10:42
投資戦略をアップデートします。
■目先の相場観
いまのニューヨーク市場はスペースX、アンソロピック、オープンAIという大型IPO期待に支えられた市場で、イベント通過までは引き続き相場は上を予想します。
■アンソロピックがオープンAIの前に躍り出た
6月1日、アンソロピックが米国証券取引委員会(SEC)に新規株式公開に向けコンフィデンシャル・ファイリングを行いました。これはIPO申請書類をまずSECにだけ仮審査してもらう極秘の申請であり、一般投資家は未だ同社の財務内容などの経営情報は知り得ないです。市場の噂ではたぶん650億ドル前後の調達になるだろうと言われています。
普通、コンフィデンシャル・ファイリングからロードショーのキックオフまでは数ヶ月を要することを勘案すれば、レイバーデー(今年は9月7日)明けの火曜日がキックオフのターゲット日ということになります。
重要な点として、IPO準備はもともとオープンAIのほうが先に進めてきたにもかかわらず、ここへきてアンソロピックが割り込んできて、IPOレースでオープンAIの前に躍り出たということです。
なぜオープンAIはもたもたしている? それは同社の売上高が思ったほど伸びてないということに加え、イーロン・マスクとの間での訴訟とか、社内がゴタゴタしているとか、そういう諸々の事情が重なって遅延が生じているわけです。
アンソロピックはゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガンなどを主幹事に据える見込みです。これらの投資銀行はオープンAIが話し合いと準備を進めてきた顔ぶれと同じであり、オープンAIからすれば「裏切られた!」という、砂を噛むような思いをしているに違いありません。
ウォール街では同じセクターのライバル企業の株式は、メインバンクと関係の手前、幹事を務めないというある種の紳士協定が存在します。もしそれを破って上記の引受業者がアンソロピック、オープンAIの両方と仕事をするのであればそれは異例であり、「無節操!」の批判を受ける可能性があります。
もうひとつの可能性は、もたもたしているオープンAIが上記引受業者から愛想を尽かされたというシナリオです。
どちらのシナリオになるかは今後ハッキリすると思いますが、6月1日のアンソロピックによるコンフィデンシャル・ファイリングは、例えて言えば**「TORA! TORA! TORA!」の真珠湾攻撃のような衝撃をオープンAIの経営陣に与えたに違いありません。
■レイバーデー明けの激突はマーケットにとって何を意味する?
そんなわけでレイバーデー明けの9月8日、アンソロピックとオープンAIの両社が「ガツン!」と激突するシナリオが濃厚です。
これはマーケットの地合いにとって何を意味するのでしょうか?
普通に考えれば、引受シ団は(大型IPOが終了するまでは、相場が持って欲しい……いや持たせなければいけない!)という、祈るようなキモチになっているはずです。私は昔、この仕事をしていたので、そういうことは良くわかります。例えて言えば、大政翼賛会のような、戦争遂行のため挙国一致体制です。こういうファッショ的なムードにウォール街全体が包まれると、IPOの悪口を言ってはいけないような雰囲気になります。
相場が少なくとも9月くらいまで長持ちしてしまうかもしれないと私が考え始めている理由はここにあります。
■取りこぼしは許されない!
しかし、ウォール街が挙国一致体制になったから、秋まで相場は絶対に高い!という風には断言できません。そもそも相場に「絶対!」は無いのです。
具体的には6月12日頃を予定しているスペースXのIPO、先日発表されたアルファベットの800億ドルの資本調達などの巨大な案件のひとつでも頓挫すれば、9月を待たずに資金調達計画は狂い始めます。巨額のAI投資に必要な、資金そのものが調達できないわけですから、当然、AI設備投資のストーリーもグラグラしてくるわけです。
だからいま我々がやらないといけないことは(どうせ9月まで相場が高いのならもう枕を高くして寝ても大丈夫だな)というような慢心することではなく**、上に書いたようなひとつひとつのディールがきっちり成功するかを見届けることにほかならないのです。
■参考銘柄
ヴィクトリアズ・シークレット(VSXY)
■予想
2026年末のS&P500のターゲットは7,000を予想します。
2026年末のドル円は153円を予想します。
2026年末の10年債利回りは4.50%を予想します。
2026年末のフェデラルファンズ・レートは3.50%を予想します。
2026年末の失業率は4.40%を予想します。
2026年末の消費者物価指数は3.70%を予想します。
2026年末のGDPは+1.50%を予想します。