ケリング
2026年8月15日 17:12
ケリング(フランスKER)はグッチ(GUCCI)、サンローラン(Saint Laurent)、ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)、バレンシアガ(BALENCIAGA)、ブシュロン(Boucheron)、ブリオーニ(Brioni)、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)を傘下に持つファッション・コングロマリットです。
グッチは1921年、グッチオ・グッチがフィレンツェにショップを構えたことに始まります。
第二次世界大戦終戦直後、革は極度に不足し配給制でした。そこでフローレンスの職人は日本から取り寄せた竹を熱で曲げ、頑丈な取手としたバンブー・バッグを発表しました。女優イングリッド・バーグマン、エリザベス・テーラー、ダイアナ妃などが愛用者として知られています。
一目でわかる馬銜(スナッフル)をあしらったホースビット・ローファーは1953年に発表されました。ワシントンDCの代議士やロビイスト、ウォール街のトレーダー、有名人ではフランシス・コッポラなどが愛用することで知られています。
1961年に発表されたホーボー・バッグはジョンF.ケネディー大統領の奥様、ジャッキー・ケネディーのお気に入りでした。ジャッキーが、どこへでもそれを持っていったことで、グッチはその後、正式にホーボー・バッグをグッチ・ジャッキーに改称しました。
サンローランは1961年にイヴ・サン=ローランによって創業されました。彼は世界の歴代の有名デザイナーの中でも五指に入る天才的なデザイナーで、1957年にクリスチャン・ディオールが腹上死したとき、弱冠21歳でディオールの主任デザイナーに就任し、「トラピーズ」と呼ばれるドレスを発表、ファッション界を驚かせます。
ところが1960年に当時アルジェリア戦争が進行中で、イヴ・サン=ローランにも「赤紙」が来て軍役を強いられ、そこでメンタルを壊して陸軍病院に入院します。ディオールは彼を主任デザイナーから降ろす決定を下します。
イヴ・サン=ローランの恋人でアート・ディーラーだったピエール・ベルジェは陸軍病院からイヴ・サン=ローランが退院することを手配し、ディオールを不当解雇で訴える一方、次の一手を考えました。この苦境を見てアトランタの実業家、J.マック・ロビンソンがフランスに飛び、「あなたのメゾン、YSLを始めないか?」と提案、イブ・サン=ローランが独立することを援助しました。独立後、YSLはピーコート、モンドリアン・ドレスなど斬新なモードを次々に発表します。
このようにケリングはアイコニックなブランドをたくさん傘下に持ち、ブランド・ポートフォリオの強さでは他社に負けません。
しかし同社の業績はファッションのトレンドに翻弄されやすく、浮き沈みが激しいです。またグッチへの依存度が高く、いまのグッチはファッションのモメンタムという点でやや精彩に欠き、それが業績に影を落としています。
去年のケリングの年間売上高は147億ユーロで、エルメスの160億ユーロ、リシュモンの224億ユーロに比べてもそれほど劣らないのですが、現在の時価総額はケリングの333億ユーロに対し、エルメスは1,667億ユーロ、リシュモンは1,052億ユーロと大きく水をあけられています。
その一因は営業マージンにあり、ケリングのそれは今年上半期で12.8%と低いです。一方、エルメスは41%、リシュモンは20%です。
ケリングはグッチへの依存度が高すぎるので、今は比較的安定しているジュエリーなどへの多角化を目指しています。
同社にフォローの風が吹き始めている兆候として、いまアメリカではONやナイキに代表される運動靴が消費者から飽きられ、ローファーに人気が戻ってきている点が挙げられます。
同社株は2021年の高値(ほぼ800ユーロ)から現在は268ユーロまで下がっており、割安感があります。
ケリング株はフランスに上場されており、インタラクティブ・ブローカーズで購入することが出来ます。