ハンガリー
2026年8月12日 17:44
私がハンガリーに注目する理由は3つあります。第1番目にハンガリー・フォリントは将来ユーロに変わると思われること、2番目に中欧の株式は再評価される可能性が強いこと、3番目に同国へ投資するということは、バルカン諸国の経済の躍進に間接的に参加することを意味するためです。
先の選挙で親ロシア派のオルバンが敗北し、ハンガリーはこれまでとは正反対にEUに歩み寄る政治へと変わっています。
それはいままで宙ぶらりんになっていたEUからの支援金が入ることを意味するだけではなく、いよいよ将来の通貨統合に向けて動き出すことを意味します。
普通、ある国がEUに参加する、あるいは既にEUメンバー国になっているところが現地通貨を廃止し共通通貨ユーロを採用する、という節目ではコンバージョン・トレードと呼ばれるローカル資産の見直し買いが起きます。すでにハンガリーの通貨や株式にはそれに先回りする買いが入り始めています。
2番目にハンガリーはチェコ、スロバキア、オーストリアなどと併せて中欧に括られますが、中欧諸国は成長が加速する可能性があります。すでにこれらの国々の北隣りのポーランドは高い経済成長の局面に入っています。それが中欧にも波及しつつあるのです。
ドイツが憲法を改正し、1兆ユーロの大型予算を組み軍備やインフラストラクチャに投資し始めたことは良く知られていますが、ドイツのメーカーの下請けの多くはポーランドやハンガリーにあります。
かつてポーランドやハンガリーの消費者はローン金利が低いスイス・フラン建てで住宅ローンを組んでいました。しかしギリシャ危機が起きた時、それらの国々の通貨が急落し、ローンの返済負担は逆に大きくなってしまいました。それでローンが返せなくなる借り手が続出し、これらの国々の銀行株は敬遠されました。ハンガリー政府は銀行に対し焦げ付いたローンの損金計上を要求し、洗いざらい膿を出すことを断行したのです。
そんな過去もあり、ほとんどの投資家のレーダー・スクリーンの中からハンガリーは消えてなくなりました。
最後のポイントとしてハンガリーのすぐ南にはバルカン諸国が広がっているのですが、ここはクロアチアを始めとして観光開発が進みつつあります。1990年代にユーゴスラビアが崩壊し、民族洗浄などの痛ましい紛争が頻発、「手に負えない地域」として忘れ去られました。しかしその傷がようやく癒えて、いまこの地域の安い資産価格に世界が注目し始めているのです。
ハンガリー最大の銀行、OTP銀行は近隣国で買収を繰り返し、いまではバルカン諸国全体で事業展開しています。観光客の流入でバルカン諸国はちょっとしたブームになっており、その恩恵をOTP銀行がこうむることが予想されます。
ハンガリーのブダペスト・ストック指数はPERが12倍、PBRが1.6倍、PSRが1.2倍です。この指数の半分近くが銀行株で占められており、そのうち最大のものがOTP銀行です。OTP銀行は収益力が高いですし近隣国への積極的な事業展開で成長力もあります。インタラクティブ・ブローカーズ証券でたぶん扱いがあると思います。但し同証券は取扱銘柄を集約中であり、将来、扱いから外れるかも知れません。