投資戦略
2026年4月22日 15:17
投資戦略をアップデートします。
■トランプはエスカレーションを望んでいない
トランプ大統領はイラン戦争のエスカレーションを望んでいません。ホンネを言えば、早くアメリカ軍を中東から引き上げたいと思っています。
ただ停戦交渉が続いている間は、交渉術として、エスカレーションという選択肢も残しておかないといけないので、ポーズとしては臨戦態勢を維持しています。
現在中東に展開している米軍(もともと中東の米軍基地に配備されていた既存兵力を除外)は;
USSトリポリ強襲揚陸艦
USSニューオーリンズ・ドック型輸送揚陸艦(ホバークラフトなど)
→上記の2隻には乗組員合計1300人、第31海兵遠征部隊(沖縄)2200人が乗り組んでいます。
USSボクサー強襲揚陸艦 (ハリアー、F-35、シーホークなど)
USSポートランド・ドック型輸送揚陸艦 (レーザー兵器でドローンを無力化)
USSコムストック・ドック型揚陸艦 (ホバークラフト4隻またはLCM-6 21隻)
→上記の3隻には乗組員合計2300人、第11海兵遠征部隊(サンディエゴ)2200人が乗り組んでいます。
これに加え、C-17、C-130輸送機20機以上による第82空挺師団2000人が出撃体制にあります。
さらにUSSジョージHWブッシュ航空母艦が4月末までに中東に到着します。
この陣容はホルムズ海峡の島の一部に上陸することを可能にしますが、核施設の地中深くに埋まっている濃縮ウランを回収する能力はありません。
■停戦期限延長
4月21日、トランプ大統領は停戦期限を延長しました。今回は二週間の延長ではなく、特に期限はありません。
4月7日以降、アメリカによるイランへの空爆は起きていません。ただし、イランに関係する船舶の航行をブロックすることは行っています。
■ホルムズ海峡の状況
戦争前、ホルムズ海峡を通過するタンカーやコンテナ船は1日平均137隻でした。現在、それは10分の1に減っています。
つまり、海運会社は依然としてホルムズ海峡が航行不可能な状況だと判断し、自粛しているわけです。
このままの状態でアメリカ軍が中東から引き揚げる可能性もあると思います。なぜならトランプ大統領は以前「アメリカ軍が引き揚げればホルムズ海峡の通行は自然に元に戻る」というコメントをしているからです。
また、機雷の掃海を他の先進国に任せてしまう選択肢も未だ残っていると思います。
■米国株が堅調な理由
米国株が堅調な理由はいくつか指摘できます。
まずスペースXの新規株式公開(IPO)を6月に控えており、投資家はそれに期待をつないでいるということです。
つぎに今年に入ってからベネズエラやイランで大規模な作戦が続いているわけですが、こと戦争の遂行コストという観点に限って言えば米国が年初来費消した戦費は総額295億ドル前後であり、米国の年間防衛予算8,750億ドルの3.4%に過ぎません。これはGDP比では1%よりずっと少ないです。
比較のために第二次世界大戦の戦費はGDPの37%、ベトナム戦争は9%、イラク戦争(アフガニスタンを含む)は1.5%でした。
戦費調達のために財務省証券を増発しなければいけないような状況ではないのです。
もちろんトリプルエー全米平均レギュラー・ガソリン価格は4ドルを越えた状態であり、米国の消費者の日常生活にストレスを与える水準であることには変わりありません。その理由から2026年末の米国の消費者物価指数の予想を3.3%に引き上げます。(旧予想2.7%)
ただ、上に述べたように政府の台所に対する悪影響は限定的であり、それを反映して長期債の利回りも思ったより急騰していません。その理由から2026年末の10年債利回りは4.30%に引下げます。(旧予想4.50%)
いま米国10年債利回り(4.29%)−消費者物価指数(3.3%)を計算すると、実質長期金利はほぼ1%です。
過去に暴落が起きた時の実質長期金利は;
ブラックマンデー 4.95%
ドットコムバブル崩壊 3.41%
リーマン・ショック 1.23%
という感じで、いまの方が金利環境は良好であると見ることができます。
S&P500のトレーリング(過去)12か月のEPSは276.25なので、**現在の米国市場の株価収益率(PER)は25.57倍です。**これは下に見るように過去の暴落の水準にかなり近いですが、上に述べたように実質長期金利という観点からは今回のほうがバリュエーション支援的であることから、我慢して我慢できない水準ではないという風にも言えます。

■決算シーズンは好調
一方、これまでの決算シーズンは戦争にもかかわらず、おおむね好調です。もちろん、ジェット燃料費が負担となるエアライン株では見通しの下方修正が出ていますが、総じて予想したほど決算のとりこぼしはありません。
コンセンサス予想では今年のS&P500のEPSは去年に比べ+19%が予想されています。

私は、この予想は高すぎると感じるものの、いまのところ経営者のマインドには戦争の悪影響はそれほど出ていないし、足下の消費も強いことから戦争が景気に影を落とすのはもうすこし先になるという考えに傾いています。
このため年末のGDP成長予想を+0.5%に引き上げます。(旧予想0.0%)
またS&P500のターゲットも6,700に引き上げます。(旧予想5,890)
現在のS&P500の水準よりターゲットが低い理由は、中間選挙の年の株式市場はジンクスとして4月から10月にかけて苦戦することが多いからです。
■予想
2026年末のS&P500のターゲットは6,700を予想します。(旧予想5,890)
2026年末のドル円は151円を予想します。
2026年末の10年債利回りは4.30%を予想します。(旧予想4.50%)
2026年末のフェデラルファンズ・レートは3.25%を予想します。(旧予想3.75%)
2026年末の失業率は4.5%を予想します。(旧予想4.7%)
2026年末の消費者物価指数は3.30%を予想します。(旧予想2.70%)
2026年末のGDPは+0.50%を予想します。(旧予想0.0%)