労働生産性について
2026年4月2日 15:30
労働生産性は付加価値÷労働時間で計算されます。
普通、一従業員当たりのグロスGDPで国際比較されることが多いです。
下はペン・ワールド・テーブル(PWT)のデータに基づいた、インフレ修正後、2021年の国際ドルレートを使用した、購買力平価を加味した各国比較です。

日本の労働生産性がG7で一番低いことは周知の事実ですが、OECD加盟38カ国でも大体30位くらいです。
一体、労働生産性が高い国は何が違うのでしょうか?
ひとつは高付加価値産業の比率が高いか? です。IT・ソフトウェア、金融保険、医療、知財、ブランドなどがそれに当たります。
資本装備率(Capital deepening)は従業員一人当たりにどれだけITツールや機械やデータを与えて仕事させているか? の尺度で、人が働くのではなく、資本に働かせているか? を測ることが出来ます。
高生産性国はソフトウェア、ブランド、R&Dなどの無形資産にカネを使っています。
加えて労働移動(=終身雇用の逆)、経営陣の決済の早さ、KPIの設定、成果評価なども影響してきます。
日本は、残念ながら、これらが弱いわけです。
日本の労働生産性は、かつては米国などと歩調を合わせて伸びていた印象があります。しかし近年は頭打ちです。

私の考えでは、昔の日本は「サービス残業」、すなわち残業代が払われないにもかかわらず夜遅くまで居残りすることで、「GDP÷労働時間」の分母が過小報告されてきたことが関係していると思います。
実際、2010年代に「働き方改革」でタイムカード、ICカード、PCログなどを通じサビ残が可視化されたのをキッカケにサビ残をやめることが進み、その結果、ほんらいの日本の労働生産性の低さがデータに現れるようになったのです。
普通、高いGDP成長率を維持するには労働の付加価値をどんどん上げてゆくことが理想的です。
しかしこれが出来ない場合はGDP成長は弱々しくなります。下は日本の近年の四半期毎のGDP成長率です。

(出典:トレーディングエコノミクス)
また時短で企業は労働者の不足を感じるので、失業率は低くなります。

(出典:トレーディングエコノミクス)
しかし労働生産性が上がらない国では低成長にもかかわらず経済がオーバーヒートしやすく、それはインフレに現れます。下は日本のインフレです。

(出典:トレーディングエコノミクス)
これを下のアメリカのインフレと比べてやると日本のほうが近年はしつこいインフレになっていることがわかります。

(出典:トレーディングエコノミクス)
デフレ脱却は日本の悲願だったので、日本ではインフレは容認されやすいです。しかしそろそろ(日本の慢性的インフレの一因は…労働生産性が低いからでは?)という考えが出てきてもおかしくないと思います。