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投資戦略

2026年5月15日 17:02

投資戦略をアップデートします。

■今年はIPOの年
今年は大型IPOが目白押しです。6月にはスペースXがIPOされますし、年末にはアンソロピックオープンAIのIPOが予定されています。
 
このように大型案件が控えている場合、相場の地合いは持続しやすいです。
 
振り返ってみれば2026年が始まった時点では、今年がこのような年になるという保証は一切ありませんでした。新年早々ベネズエラに対する奇襲攻撃がありましたし、2月28日にはイランに対する空爆が開始されたからです。
 
それらの戦争が一段落し、マーケットが上昇トレンドに入ったのは4月8日にフォロースルー・デーが成立してからです。これを契機としてNY市場は上昇トレンドに入りました。
 
■セレブラスのIPO
5月14日、**セレブラス(CBRS)**が185ドルで値決めされ、350ドルの初値をつけ、311ドルで引けました。もともと110ドル台からIPOのロードショーがキックオフされたことを考えれば、発行体に対する責任も果たしたし、IPOで株式の割当を受けた大手投資家に対しても顔向けできるアフターマーケットでのパフォーマンスだったと言えます。唯一儲かってないのは水準に構わずマーケットが開いた瞬間に飛び乗った、おっちょこちょいな個人投資家だけです。
 
重要なことは、このディールが無難に通過したことで、6月のスペースX、年末のアンソロピックとオープンAIにウォール街は集中できるということです。
 
■宇宙株が動き出している
スペースXのIPOを前に宇宙株が動き出しています。
 
なぜこのようなIPOの前に関連銘柄が動意づくのでしょうか?
 
その理由は引受シンジケート団に入ろうとする投資銀行が少しでも順位をUPしようとするからです。

具体的にはIPO価格のレンジを設定する際、参考にする、既に上場されている企業群(コンプス=comparables)の株価を吊り上げるのです。
 
「手口を出しました!」というアピールを、発行体や主幹事に対して行うわけです。

またシ団の中にはその銘柄を今後も継続してリサーチすることを約束することで仲間に加えてもらっている投資銀行もあります。それらの投資銀行は「宇宙株の投資機会」というようなテーマ・レポートを書き、将来のマーケティングをやりやすくするわけです。
 
私も昔はそのような仕事をしていた関係で、(自分ならこう書く!)という大体のアイデアがあります。
 
■広瀬の宇宙観
以下は私が考える「宇宙株の投資機会」です。
 
現在、世界の国々や企業が打ち上げて稼働中の人工衛星は全部で1万4千個あります。このうち実に1万個はスペースXが1社で打ち上げた人工衛星です。なお1回の打ち上げで数個の人工衛星をロールアウトできるので、人工衛星の数=打ち上げ回数ではありません。
 
それらの人工衛星の大半は
LEO(地球低軌道)と呼ばれる、地表から比較的近い宇宙を回っています。言い直せば「大気圏外で無重力だけど…限りなく地球に近い宇宙」です。これは地表から大体340キロメートルくらい上空であり、東京・名古屋間の距離です。
 
人工衛星の数は;
 
2015年 1,200個
2020年 3,000個
2026年 14,000個
 
という感じで、つい最近うなぎ登りで増え始めています。その理由はスペースXが従来の打ち上げコストの10分の1くらいで人工衛星を打ち上げることを可能にしたので、いままでそろばんに乗らなかったようなプロジェクトもどんどん可能になっているからです。
 
なお、上に書いたのは「動いている」人工衛星であり、すでに役目を終え「死んでいる」人工衛星も3,600個くらいあります。
 
死んだ人工衛星はちょっと地球にむけて移動させてやると(人工衛星の燃料はヒドラジン、キセノンガス、クリプトンなどです)だんだん地球の重力圏に入り、速度を増し、最終的にはマッハ25くらいのスピードになり、大気との摩擦熱で溶けてしまいます。だから死んだ人工衛星が空から落ちてきてそれでアタマを打って死ぬとか、そういうことは心配しなくて大丈夫です。
 
事実、スペースXはこのような大気圏の持つ「自浄作用」をはじめから想定し、耐用年数を終えた人工衛星を定期的に一掃しています。つまりスターリンクの設備更新サイクルの中に組み込まれているということです。
 
このように5年から10年ほどで人工衛星をどんどん新しいものに変えてゆくもうひとつの理由は「ムーアの法則」により半導体の集積度がどんどん高まり、より小さく、より高性能な人工衛星をより安く作ることができるからです。
 
昔の人工衛星は冷蔵庫くらいの大きさでした。いまの人工衛星はトースターくらいのサイズです。体積や重量が小さくなると、より安くそれを宇宙に届けることができます。
 
人工衛星はどのように使われているのでしょうか?
 
いまは
地球観察
ならびに
通信
が主です。
 
地球観察は、衛星写真で地球の様子を「見る」というアプローチとRF(ラジオ・シグナル)を「聞く」というアプローチがあります。
 
RFを聞く例は、ホルムズ海峡が封鎖されたとき、タンカーの一部はトランスポンダーを切ってステルス・モードで航行するということを試みたわけですが、その場合でもそのタンカーは殆どの場合なんらかのRFシグナルを発しています。それを宇宙から聞くことでタンカーの正確な位置を特定できるわけです。(ホークアイ360がそれをやっています)
 
ウクライナ戦争、イラン戦争などを通じ、我々投資家は宇宙から地球を観察することで得られる軍事情報の重要さを見せつけられました。
 
つぎに宇宙を経由した通信ですが、人工衛星で通信するメリットは**line of sight(見通しが効くこと)にあります。地球は丸いので遠いところでは見通しが確保できません。(地平線の下に隠れてしまうから)
 
AMラジオ波は「曲がる」ことができるのでline of sightが無くても遠くに届きます。でもVHFやUHFは届きません。ミリウェーブも強いline of sightが必要になります。
 
すると宇宙にアンテナを置けばline of sightを確保しやすくなるわけです。またひとつの人工衛星で巨大なカバレッジを実現できます。これが宇宙と交信するメリットなのです。
 
ただし東京・名古屋間の距離があるため、レイテンシーの問題は避けられないです。ヒマラヤ山脈や太平洋のド真ん中でも交信できるグローバル携帯電話などは宇宙にアンテナを置くことで実現されています。ただしそのようなソリューションを必要とする冒険家はほんの一部であり、市場規模はとても小さいです。
 
地球観察、通信以外の宇宙のビジネス機会では、月面資源利用、軌道上製造、軌道上データセンターなどは実現可能な夢と言えます。ロボットも人間が生存できない宇宙でこそ威力を発揮すると思います。
 
火星は、人間がそこへたどり着くことはたぶん可能だと思いますが、放射線対策ができない、磁場が無い、食料・水が無い、帰還コストが高いなどの理由で定住は無理だと思います。
 
その他、現時点では無理な夢としては;
 
宇宙エレベーター ✘
人工重力 ✘
冬眠 ✘
閉鎖型生態系 ✘
ワープ航法 ✘
テレポーテーション ✘
 
という感じです。
 
そうやって実現不可能なことを全部除外し、宇宙ビジネスのTAM(市場規模)を求めれば、約5,050億ドルくらいになります。そしてTAMは年率13%前後で成長しています。
 
■宇宙株を取引する際の目のつけどころ
上で説明したように宇宙開発は最近になればなるほど勢いが加速しているし、打ち上げコストも下がってきています。それは昔政府予算をアテにして、のんびりしたペースでやっていた宇宙開発が昔とは比べ物にならないほどのスピードで加速していることを意味します。
 
何十年も続いてきた宇宙関連企業の大半は、このスピードの変化について行けていません。
 
それらの老舗企業は淘汰される側なので、そういう企業の株を買わないでください。
 
むしろ
インテューイティブ・マシーンズ(LUNR)とかレッドワイヤー(RDW)**のような新しい企業で、なおかつ地球観察や通信(=これらは競争が激しいです)以外の銘柄が良い気がします。
 
■予想
2026年末のS&P500のターゲットは6,700を予想します。
 
2026年末のドル円は151円を予想します。
 
2026年末の10年債利回りは4.30%を予想します。
 
2026年末のフェデラルファンズ・レートは3.25%を予想します。
 
2026年末の失業率は4.5%を予想します。
 
2026年末の消費者物価指数は3.30%を予想します。
 
2026年末のGDPは+0.50%を予想します。