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「NVDAキラー」セレブラスがIPOロードショーをキックオフ

2026年5月9日 05:01

AI向け専用半導体メーカー、セレブラス(CBRS)がIPOロードショーをキックオフしました。

AIの推論(インファレンス)では、たくさんの情報をメモリーとコンピュート(計算処理装置)との間でやりとりします。
 
その際、HBM(ハイ・バンドウィズス・メモリー)とGPUとの間での情報の受け渡しがノロノロしているので、回答スピードが遅くなってしまう問題があります。
 
そこでいままでとは根本的に違うデザイン哲学で、「演算が、ひとつのチップを離れることなく、同一のチップ上で完結する」ことを実現するため、SRAMとコンピュートを同一チップ上に焼き込んでやる方法=ウエハースケール・インテグレーションという手法を最初に商業化したのがセレブラスです。
 
ウエハースケール・インテグレーションの考え方はメインフレーム・コンピュータの時代に活躍したジーン・アムダールが最初に示したのですが、実現には至りませんでした。
 
セレブラスは苦節10年、様々な独自のノウハウを積み上げ、ウエハースケール・インテグレーションを実現しました。
 
過去50年間、半導体は「ムーアの法則」に従ってスケールアップしてきました。
 
1972年 4004は2,500トランジスタ
1982年 286は120,000トランジスタ
1993年 ペンティアムは3,000,000トランジスタ
2002年 ゼオンは159,000,000トランジスタ
2010年 GF100は3,200,000,000トランジスタ
2020年 A100は54,000,000,000トランジスタ
2022年 H100は80,000,000,000トランジスタ
2024年 B200は104,000,000,000トランジスタ
 
という感じです。
 
セレブラスはGPUの58倍の面積のウエハーにたくさんのSRAMとコンピュートを盛り込むことでいままでとは全く違うトランジスタ・カウントを実現しました。
 
インファレンスはシーケンシャルです。そこではモデル・ウエイトはメモリーからコンピュートへ移動されなければなりません。ひとつのモデル・ウエイトは100本のHD映画と同じバイト数を保持しているので、モデル・ウエイトをメモリーとコンピュートの間で移動させるだけで膨大な帯域幅を消費します。
 
トークン・ジェネレーションは並列化できません。新しいトークンは古いトークンに依存しています。その関係で古いトークンをメモリーから回収しなければいけない以上、AIの速度はメモリーの速度により制限されるのです。
 
言い換えればHBMとGPUの間でのやりとりは事実上、バッチ・システムになってしまっており、時間がかかります。
 
セレブラスは、そもそもメモリーをコンピュートと同じチップの中に焼き込むことでこのボトルネックを解決、メモリー帯域幅を一気に2,600倍にしました。
 
同社はウエハースケール・インテグレーションのシステムを販売することもしていますし、独自のデータセンターにそれを実装し、サービスとしてキャパシティを貸し出すこともやっています。
 
同社の商品が受け入れられるようになるとエヌビディアのGPUにとっても、HBMのメーカーにとっても脅威となると思われます。
 
とりわけ、いまはメモリーの問題を解決するために闇雲にHBMの数だけを増強するということが行われており、それがメモリー・バブルとなっているので、もっとずっとスッキリしたソリューションとしてウエハースケール・インテグレーションが広く受け入れられるようになればHBMはオワコン化するかもしれません。
 
セレブラスの2025年の売上高は5.1億ドルで、2022年からのCAGRは175%でした。現在の残存パフォーマンス義務(RPO)は246億ドルで将来の売上高は「読みやすい」です。同社は既に黒字です。