投資戦略 FIMA活用の意味
2026年8月3日 15:09
投資戦略をアップデートします。
■米国がドル安政策へ転換
先週、スコット・ベッセント財務長官は、日本の円買い介入を支援する形で、ニューヨーク連銀を通じて円買いを行いました。両国がこのように協調介入するのは実に30年ぶりの出来事です。
今回はFIMA(「フィマ」と読みます。Foreign and International Monetary Authorities Repo Facilityの略で既に米国財務省証券を大量に保有している国の政府に対し短期的に為替介入資金を用立てる仕組みです)を活用しました。
■日本政府にとっての円買いの意味
このところ円は「ハチャメチャな円安」になりそうな雰囲気でした。その場合、日本がアルゼンチン型の慢性的なインフレに陥る懸念があります。なぜなら日本はエネルギーのほとんどを輸入に頼っているからです。
円買い介入により、将来のインフレを抑制するのが今回の介入の狙いです。
近年、日本はわざとインフレを放置し、年金などの固定収入で生活している老人から若者への富の移転ならびに雇用機会のシフトを後押ししてきました。
インフレについていこうと株式に投資し、購買力の減退を防ぐことも、その過程で促されてきたわけです。
しかし日本の長期金利の上昇は将来の日本政府のファンディング・コストを上昇させます。財政のサステイナビリティの観点から、これ以上の長期金利の上昇は好ましくないため長期金利を決定する要因のひとつであるインフレ(そしてそのインフレ率は日本の場合、エネルギーの輸入コストに左右されるわけですが)を抑えることに出たというわけです。
しかるに先週、日本政府が円買い介入に出動したということは日本株の上昇の勢いを殺してまで政府の財政のサステイナビリティを維持しないといけない水準に為替が到達したということを示唆していると思います。
■アメリカ政府にとっての円買いの意味
一方、アメリカがFIMAを通じて日本政府の円買いを支援する主なモチベーションは米国財務省証券が日本によって売られることを避けるためです。
普通、日本がドル円で円買いの介入をしようとする際、すでに保有している米国財務省証券をまず売却することで、その原資とします。
すると日本が為替介入すると米国の長期金利が上昇してしまうのです。これは米国にとって不都合です。
そこで「わざわざ財務省証券を売らなくても、私が介入資金を融通しますよ!」という感じでアメリカ政府が日本政府に介入資金を短期で貸すわけです。これにより債券市場で売りプレッシャーを発生させることなく為替市場で円買いプレッシャーを創造できるというわけです。
■投資家目線で先週の介入の重要性
結果としてアメリカ政府はドル高、米国長期金利高に対して「このへんでSTOPをかける!」ということをシグナルしました。
これまで世界の投資資金は米国に飛び込んできていたわけですが、この一点集中がやや緩和することが予想されます。
それは、投資家が米国以外の投資機会にも目を向けるべき時が到来したことを意味します。
■グローバル・ポートフォリオのリバランス
これまでは米国の利上げ観測、そしてドル高というシナリオがはっきりしていたため、米国以外の投資機会は後回しにするべきでした。
しかし先週、この構図が変わったため、今後は徐々に「米国一辺倒」のポートフォリオからの脱却を世界の投資家は考え始めます。
どんな投資対象が考えられるのでしょうか?
一例として、私は**オーストリアETF(EWO)に注目しています。オーストリアの首都はウイーンですが、ここは昔はハプスブルグ家のオーストリア・ハンガリー帝国の首都であり、広く中欧に睨みを効かせていました。その関係で、今日でもオーストリアの金融機関はたんに国内だけでなく中欧全体に広く事業展開しています。
いま中欧はちょっとしたブームになっています。経済成長も西欧に比べて高いです。
EWOは金融セクターの比率が高いため、中欧全体の経済成長をうまく捉えることができるETFです。
アジアではベトナムETF(VNM)**に妙味があります。同国は外国人の持株比率に関して制限を加えてきたのですが、それを徐々に緩和する方向へと舵を切っています。このことはベトナム株の再評価へつながると思われます。
バングラデシュは今年2月に「GEZ Z革命」以降初の公正な総選挙が成功裡に実施され、経済改革に乗り出しています。しかしその矢先にイラン戦争が起き、エネルギー価格の高騰、ならびに中東に出稼ぎに出ているバングラデシュ人の本国への送金が脅かされました。いまイラン情勢は落ち着きはじめています。したがってそろそろバングラデシュの投資機会にも再注目すべきだと思います。
■参考銘柄
ビザ(V)
フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)
ジョンソン&ジョンソン(JNJ)
モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMUY)
オーストリアETF(EWO)
BRAC BANK(バングラデシュ)
■予想
2026年末のS&P500のターゲットは7,250を予想します。
2026年末のドル円は160円を予想します。
2026年末の10年債利回りは4.50%を予想します。
2026年末のフェデラルファンズ・レートは3.75%を予想します。
2026年末の失業率は4.3%を予想します。
2026年末の消費者物価指数は3.80%を予想します。
2026年末のGDPは+1.50%を予想します。