Skip to content

ケビン・ウォーシュFRB議長がフォーワード・ガイダンスをやめることについて

2026年6月3日 19:37

ケビン・ウォーシュFRB議長が6月17日の連邦公開市場委員会(FOMC)でフォーワード・ガイダンスをやめる方向に向かわせるということが話題になっています。

フォーワード・ガイダンスとはFRBが将来の金利政策に関して「こういう方向へ持っていきます!」ということを強く示唆する行為を指します。
 
加えてFRBが隔会のペースで発表している経済予想サマリーに含まれている、FRBメンバーによるフェデラルファンズ・レートの予想(=これをドットプロットと言います)もだんだんフェードアウトする方針だそうです。
 
5月に上院が新FRB議長承認に際しケビン・ウォーシュを喚問した際、ウォーシュは「自分はフォーワード・ガイダンスの必要性を信じていない」と答弁しました。
 
その背景にはFRBメンバーの今後の経済ならびに政策金利の予想は大体はずれてきたということがあります。(それを言えばトレーダー達のFFレートに関する予想の集大成であるCME FedWatchのコンセンサスも大体はずれてきました。)
 
つまり、そもそも誰も予想できないことをあたかも御神託のようにコミュニケートするのは無駄だという立場です。
 
また、FRBが将来どう動く? というのをFRB一流の独特の言い回しで表現することもやめてゆく方針です。そういう言い回しの例は;
 
バイアス:1999年頃から使われ始めた
当分の間:2003年8月から使われ始めた
辛抱強く:2004年1月から使用
ゆっくりしたペースで:2004年5月から導入
期間を引き延ばす:2008年から2011年にかけて
すくなくとも何時までは: 2011年から導入
 
今回見直されるFRBの一連のガイダンス手法はベン・バーナンキ議長の時代に始められました。バーナンキは「FRBの仕事は市場のインフレ期待に働きかけることであり、市場参加者の期待を力強くリードするためにはコミュニケーションは明快で何度もFRBの考えていることをリマインドしたほうがいい」という信念を持っていました。
 
バーナンキの前任者のアラン・グリーンスパンは、わざと市場参加者をはぐらかす意図的な曖昧さを得意としてきました。
 
リーマン・ショック後のゼロ金利時代は政策金利を上げ下げすることでFRBの方針を市場にシグナルすることが不可能になったのでフォーワード・ガイダンスやドットプロットは一定の利用価値があったと言えます。
 
しかし金利が平常に戻ったいま、フォーワード・ガイダンスやドットプロットの利用価値は大幅に下がったと考えることもできます。