NY時間に入ったレートチェックの意味
2026年1月24日 16:55
1月23日(金)NY時間にニューヨーク連銀がFXのカウンターパーティーに対しレートチェックを行いました。
NY連銀は米国財務省からの要請でレートチェックを実行しました。
レートチェックは「あまり為替が動くようなら、介入します!」という牽制のシグナルです。
いまは「円安」でもあるし、同時に「ドル安」でもあります。
特に円は2月8日の選挙を控え、売られやすい状況です。
その理由は高市政権が消費税一部減税を打ち出しており、それが日本の財政をいちだんと放埒にするという懸念から円売りが来ているからです。同時に日本の長期債の利回りはこのところ上昇しており、典型的な「悪い金利上昇」の商状を呈していました。
さて、アメリカ政府がこれを不快とする理由なのですが、もし日本の長期金利が急に上昇すると、それに引きずられるカタチで米国の長期金利も上昇するリスクがあるからです。
トランプ政権は、いまアフォーダビリティーの問題に取り組んでおり、主に住宅コストを抑制することでアフォーダビリティーの問題を軽減しようとつとめています。米国では30年固定住宅ローン金利は10年債の利回りが決定要因になります。
すると10年債の利回りの急上昇を抑えようとすると今日本で起こっている「悪い金利上昇」を食い止める必要があるわけで、そのために極端な円安を牽制したというわけです。
長短金利の変動と、それが経済や国民生活に与えるインパクトは、実は日米ではかなり違います。これを理解しておかないと今起きていることはじゅうぶんに理解できないと思います。
まず日本の住宅ローンでは8割の借り手が変動金利を選びます。いま新規に借入すると0.75%くらいのコストです。なぜなら日本の短期金利(1ヶ月)は0.75%、10年債金利は2.26%と長短金利差が大きく、短期で借りたほうが有利だからです。
米国では短期金利は3.5%、10年債利回りは4.2%で、長短金利差はそれほどでもありません。それなら将来の金利変動リスクを避ける意味で、30年固定ローンで借りてしまったほうが安心感があります。このためアメリカのマイホームの買い手は9割が30年固定ローンでローンを組みます。
すると米国の長期金利が上昇すると30年固定ローンの金利コストも増加し、手の届く(=アフォーダブル)物件の選択肢は狭まってしまうのです。トランプ政権はこれを防ぐために日本の長期金利の大きな変動を抑え込もうとしているわけです。
日銀は政策金利をそれほど引き上げてないため、庶民の生活感覚では金利コスト、住宅コストの上昇はそれほど感じられていません。これは国民の大半がショートエンド(利回り曲線の左側=短期)でお金を借りているからです。
日本では長期金利が上昇しても、銀行の窓口で買える金融商品で直接メリットを受けるものは非常に少ないです。だから(少しでも有利な運用をこころがけよう)というマインドセットは日本人にはありません。
それは利子がぜんぜんつかないにもかかわらず、銀行に預金したまま放置する怠惰な態度へと繋がっています。言い換えれば、日本は、国民性として金利というものにとても鈍感だということです。
家計金融資産2,200兆円ということからもわかる通り、日本の銀行には預金が余っており、銀行は預金を集める必要がないです。したがって預金金利も上げるインセンティブはありません。
日本国内、とりわけ銀行のオファーする商品に利回り的に魅力あるものが無いのなら、合理的な消費者の行動は銀行から貯金を下ろし、ネット証券とかに送金し、たとえばSPYDのような利回り的に有利なETFを買い、キャピタルゲインではなく、インカム収入をGETするという方法があります。
でもそういう面倒くさいことは殆どの日本人はやらないでしょうね。