トランプ政権がパウエル議長に召喚状 マーケットにとっては、もちろん悪いニュース
2026年1月12日 13:30
司法省がパウエル議長に召喚状を送りました。
召喚状を送りつけられたからといって起訴されたということではありません。たんなる事実確認のための聞き取り調査であることも多いです。
司法省は連邦犯罪の可能性を調査する目的で証拠書類の提出、証人として証言することを要求するわけです。
これを要求されたら、それに従い情報を提供し、証言しないといけません。
召喚状は脱税、金融犯罪、汚職などの疑いがある場面でしばしば出されるため、それが出されたからといって「あいつが犯人だ!」という風に疑義をかけられたということではありません。
今回はワシントンDCにある連邦準備制度の本部の改装工事で(とんでもない豪華な建物を建て、無駄遣いしているのではないか?)という疑いがかけられているわけです。
これはある意味、ルーティンの手続きであるとも言えます。
決してパウエル議長が牢屋に放り込まれるとか、そういう話ではありません。
ただ、こういうカタチであからさまに大統領府が中央銀行に対して嫌がらせを行い、プレッシャーをかけるということはFRBの独立性を脅かす結果に終わるかも知れないわけで、それは投資家の信頼を損ねかねません。マーケットにとっては、もちろん悪いニュースです。
パウエル議長はFRBのウェブサイトにUPされた動画の中で「刑事犯で訴追するという脅しがなされた背景には、FRBが公僕としてベストな判断から政策金利を決めてきた…その過程で大統領個人の好みに耳を貸さなかったことに対する報復だ」と述べました。
なおパウエル議長は普段メガネをかけているのですが、この動画ではメガネをかけず、**カメラをまっすぐ見て喋りました。**これはメディアというものをパウエル議長が深く理解しており、目に真実を語らせる術をよく心得ているからです。
パウエル議長はキリスト教のイエズス会が設立した大学(ジョージタウン大学)を卒業しており、イエズス会は剛毅な気風で知られています。
そういう意味からもこのパトルはとても面白いです。
以下はパウエル議長がFRBサイトにUPしたメッセージの抄訳です。
私は法の支配と、民主主義における説明責任を深く尊重しています。誰であれ――もちろん連邦準備制度理事会(FRB)議長であっても――法の上に立つ者はいません。しかし、この前例のない行動は、政権による脅しや継続的な圧力という、より広い文脈の中で理解されるべきです。
この新たな脅威は、昨年6月の私の証言や、連邦準備制度の建物の改修工事に関するものではありません。議会の監督権限の問題でもありません。FRBは、証言やその他の公的開示を通じて、改修プロジェクトについて議会に十分な情報提供を行ってきました。これらは口実にすぎません。刑事訴追の脅しは、大統領の意向に従うのではなく、公共の利益に資すると私たちが最善と判断した評価に基づいて金利を決定していることへの結果なのです。
これは、FRBが今後も証拠と経済状況に基づいて金利を設定し続けられるのか、それとも金融政策が政治的圧力や威嚇によって左右されるのか、という問題です。
私は共和党政権、民主党政権を含む4つの政権下で連邦準備制度に奉職してきました。いずれの場合も、政治的な恐れやえこひいきなく、物価の安定と最大雇用という私たちの使命にのみ集中して職務を遂行してきました。公共奉仕とは、ときに脅しに直面しても毅然と立ち向かうことを求められるものです。