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投資戦略

2026年1月7日 00:18

投資戦略をアップデートします。

■新しいテーマ
新年から株式市場に新展開が見られています。それは米国の投資家がラテンアメリカに関心を示し始めたということです。
 
ラテンアメリカ市場に機関投資家のマネーが入り始めています。
 
すでに2025年からラテンアメリカ株は米国株をアウトパフォームしはじめています。
 
2025年、現地通貨ベースでは;
 
チリ +57%
ペルー +51%
コロンビア +44%
ブラジル +35%
メキシコ +31%
アルゼンチン +20%
 
という感じで華々しい上昇が見られ、米国の+16%を上回りました。
 
■モンロー主義とは違う
1月3日の米国によるベネズエラ急襲で新モンロー主義、つまり「米州はアメリカの影響圏であり中国、ロシア、欧州はラテンアメリカで米国がやることに口出しするな」ということが言われ始めました。
 
この新バージョンは一見するとモンロー主義に似ているのですが、実際には似て非なるものです。
 
まずモンロー主義を説明します。
 
1800年代の初頭、スペイン帝国が衰退し、ラテンアメリカ諸国の独立運動が連鎖的におこりました。それを指導したのがシモン・ボリバルです。コロンビア、ベネズエラ、ペルー、エクアドル、ボリビアの独立を主導しました。
 
一足先に英国の植民地から独立を果たしたアメリカは、ヨーロッパに対し「ラテンアメリカ諸国が独立しようとしていることに手出しをするな」と牽制しました。これはときの米国の大統領、ジェームズ・モンローが打ち出した政策で、後にモンロー主義という名前がつきました。

1826年にパナマ会議が開かれボリバル主導のラテンアメリカ諸国の連合構想が議論されました。ボリバルは米国も招待しました。

しかし米国側は奴隷制度問題、介入懸念などから消極的でした。つまりモンロー主義は別にアメリカがラテンアメリカを自分の勢力圏に入れるとかの魂胆から生まれたものではありません。
 
事実、これによりシモン・ボリバルが夢見たラテンアメリカ連帯は頓挫しました。
 
むしろラテンアメリカ側に(米国は自分たちの味方になってくれない。冷たい。)という反米感情を生みました。
 
■喉に刺さった魚の小骨の除去
今回、トランプ政権の下で生まれた「米州はアメリカの影響圏であり中国、ロシア、欧州はラテンアメリカで米国がやることに口出しするな」という新しい考え方は、長年、アメリカにとって「喉に刺さった魚の小骨」のような状況となっていたキューバとロシアの連携、ラテンアメリカと中国の連携を断ち切る良い機会だという認識から生まれたものです。
 
それを実現するために米国はアルゼンチン、チリなどのフレンドリーな国々との経済連携を強めようとしています。トランプ政権が基本中国や欧州などの外国に対して塩対応、貿易に消極的なのとはおおきな違いです。
 
■米国の新しい影響圏
ここまでの話をまとめると、散発的に始まったラテンアメリカ株のブルマーケットは、米国のベネズエラ急襲で「米国の新しい影響圏」というテーマを手に入れたということです。米国の投資家はこれに盛大に反応しています。
 
■羹に懲りて膾を吹く実業界
しかし実際にはアメリカがラテンアメリカに影響力を行使するのはカンタンではないと思います。
 
ベネズエラ、キューバ、コロンビア、メキシコなどの国々の政治ならびに軍事情勢は今回の展開でむしろ不透明感を増しました。
 
米国政府は連邦政府の予算を使って長年朽ちるままに放置されてきたベネズエラや米国のメキシコ湾岸の石油インフラストラクチャを修繕、再開する気は無いです。それは民間の仕事です。
 
米国の民間企業は、ベネズエラなどの投資機会に対して、それほど心躍っていません。
 
普通、事業会社は政治・軍事環境が不透明な時、ガッツリ先行投資はしません。
 
だから実際に米国の実業界がラテンアメリカのビジネス機会に積極的になるのはずっと先の話だと思います。
 
■トランプではなく、マルコ・ルビオ国務長官の構想
トランプ大統領自身は最初マドゥロ大統領と取引するつもりでした。しかしマドゥロ大統領が非協力的だったので、だんだんトランプ政権内のラテンアメリカ強硬派の意見に耳を傾けるようになり、最終的にはマルコ・ルビオ国務長官の判断に下駄を預けるようなカタチになりました。
 
だから
今回のトランプ政権の一連の動きは大統領自らが考え出したプランというより、長年、マイアミなどを中心としてアメリカにくすぶってきたキューバ系、ベネズエラ系アメリカ人社会の、母国のレジーム・チェンジ願望が、いよいよ全面に押し出されてきたと考えるべき
だと思います。
 
■キューバ系、ベネズエラ系米国人のパワー
フロリダ州のキューバ系移民、ベネズエラ系移民の特徴は、特定のアジェンダに関し、極めて統一された政治的意見を持っており、それを実現するために一体感のある政治運動を展開する点です。したがって大統領選挙の結果にも大きな影響力を行使できます。
 
これはある種、米国に居るユダヤ人がイスラエルや中東の政治に隠然たる影響力を持っているのに合い通じるノリだと説明することも出来ます。
 
キューバ系アメリカ人は230万人で、その大半はマイアミのデード郡に在住しています。デード郡は歴史的には民主党の牙城でしたが、いまは共和党支持に傾いています。ただし1959年のカストロの革命を逃れてマイアミに来たキューバ系アメリカ人一世世代の記憶は風化しつつあります。だからキューバ系アメリカ人一世は(やるならいましか無い!)と感じているのです。
 
一方、ベネズエラ系アメリカ人は70万人で、フロリダのドラル市とテキサスに在住しています。ドラル市はマイアミ西部の新興都市でベネズエラ系住民が多く、ウゴ・チャベス政権になって以来難民がたくさん流入しました。
さらにニカラグア系アメリカ人は60万人で、フロリダとカリフォリニアに在住しています。これらの勢力が大同団結しトランプ政権に対して影響力を行使しようとしているのです。
 
■キューバ情勢にもっと注意を払うべき
ベネズエラは長年経済制裁に耐えてきたので耐性が出来上がっており強靭です。一方、キューバはベネズエラからの支援が止まれば即死する可能性もあります。なぜなら電力、交通、食料供給が途絶えるので。
 
どのようなシナリオでもキューバにはもうベネズエラからの経済支援は入ってこないので、キューバの共産党は政権の維持が困難になります。今年、キューバで何か大きな政変が起こる可能性があります。
 
米国内のラテンアメリカ強硬派の本当のねらいは「ベネズエラからの原油の出荷仕向け先を米国が完全にコントロールすることでキューバの共産党政権を倒す」ことです。

このやり方は、大規模軍事介入をしない、圧力中心の外交、敵と味方をハッキリ打ち出すなどのトランプの考え方に沿うアプローチでもあります。
 
そこで問題になるのが中国の存在です。中国は今後ベネズエラやキューバを支援し、生命維持装置の役割を果たすかも知れません。
 
キューバはいまも憲法上は共産党の一党独裁で私有財産・政治的多元主義は厳格に規制されており、国家が経済の中枢を握っています。

しかし**1959年の革命神話は朽ちており、理念はもう生きていません。**キューバ国民は、もう共産主義を信じていないけど、体制に逆らえない状況なのです。
 
■ベネズエラ、キューバ関連銘柄
ここに掲げる銘柄は私の推奨ではありません。あくまでも今年に入って投資家が注目しはじめたベネズエラ、キューバに関係する企業のリストに他なりません。
 
フルアー(FLR):ベネズエラ産原油を処理するため製油所をアップグレードする際、起用される可能性があるエンジニアリング会社。

コパ(CPA):パナマにハブを持つ中米の航空会社。かつてベネズエラの3都市に就航していました。

シーベスト(CIB):コロンビアの銀行。ベネズエラとはお隣さんなので、ベネズエラ経済が立ち直った暁には進出する可能性があります。遠い将来の話です。

ヴァレロ(VLO):米国の石油精製、販売会社。遠い将来、ベネズエラ産重油を処理する能力を増強する可能性があります。

ロイヤル・カリビアン(RCL):マイアミをベースとしたクルーズ船の会社です。これまでキューバはアメリカ人観光客が渡航できませんでした。もし政変があれば、マイアミと目と鼻の先に新しい寄港地が登場し、ひょっとするとカリブ海クルーズ市場のパイが10%ほど拡大するかも知れません。

■予想
2026年末のS&P500のターゲットは5500を予想します。
 
2026年末のドル円は141円を予想します。
 
2026年末の10年債利回りは3.0%を予想します。
 
2026年末のフェデラルファンズ・レートは2.50%を予想します。
 
2026年末の失業率は4.7%を予想します。
 
2026年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。
 
2026年末のGDPは+0.0%を予想します。