タイランド
2026年1月1日 20:46
タイランドは東南アジアに位置する国でミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアと国境を接しています。
国土の広さは51.3万平方キロメートル、人口は7000万人、一人当たりGDPは$7,792、仏教国です。
タイランドは比較的近年工業化された国家で、とりわけ1989年から1998年にかけて急成長しました。
輸出がGDPの60%を占めています。産業としては機械、エレクトロニクス、食品、プラスチック、自動車部品、そして観光が重要です。
プラザ合意以降、日本の製造業が工場移転を進めました。その際、工場の移転先として注目されたのがタイランドです。自動車部品、エレクトロニクス、家電製品、機械などの製造業の基礎は日系企業が作ったと言っても過言ではありません。
それらの製品を組み立てた後輸出する、いわゆる加工輸出産業が出来上がったわけです。
当初は海外直接投資(FDI)の受け手としてたいへん注目されました。
ドル・ペッグ制だったため「為替リスクが無い」と誤解され、それが外貨建借入の増加をもたらしました。信用の創造が容易だったことからそれが資産バブルに発展し、1990年代後半にドルが強含むと同国の競争力が削がれました。経常赤字が拡大し対外債務を主に短期の借入でファイナンスしていた関係で「資産はバーツ、債務はドル」というねじれが生じ、それが1997年のバーツ危機の原因となりました。
1995年頃、コンドミニアム建設ブームが起きました。その過剰投資を見てヘッジファンドがバーツを空売りを仕掛け、1997年にドル・ペッグ制を放棄せざるを得なくなりました。結局バーツは半値になりました。
現在はこの教訓を活かしマネージド・フロート制となっています。また経常黒字で対外資産が対外債務を上回っています。企業と政府の借入はバーツ建てであり、昔のようなねじれはありません。
タイ中銀(BoT)の独立性は高いです。
しかしタイランドは、いわゆるミドルインカム・トラップに苦しんでいます。具体的には高付加価値製品を作れない、ハイテクに移行できない、生産性の向上が停滞しているなどです。
加えて高齢化社会に移行中であり労働人口が減少しつつあります。
そんな中、間接的な収入も含めると観光収入がGDPの20%を占めるに至っており世界で最も観光依存度の高い国のひとつになっています。
観光は主な外貨収入経路であり経常収支安定化の要因でもあります。輸出が不振の年にはそれを観光が補う働きをします。また雇用へのインパクトも大きいです。
同国を訪れる海外からの旅行者は1990年代はドイツ、スカンジナビア、英国、オーストラリアなどでした。アジア通貨危機以降は韓国、シンガポール、マレーシアからの到着が増えています。また2010年頃から中国からの観光客が増えました。
今後はインド、ロシア、UAE、サウジアラビアからの到着が増えると予想されます。とりわけ中期的にはインドからの観光客の増加が見込まれます。ロシアはエカテリンブルク、チェリャビンスク、イルクーツクなどから比較的近いため、プーケットに直行便が就航しています。
2025年上半期のGDP成長率は3%でした。しかし2026年は1.6%に鈍化するとIMFは予想しています。タイ中銀は金融緩和へシフトしつつあります。家計部門の負債が大きいです。
トランプ関税は当初36%でしたがいまは19%に減免されています。
目下の問題として海外からの観光客の到着が低迷している点が挙げられます。とりわけ中国からの到着が落ち込んでいます。これは中国の俳優がタイランド北部で誘拐された事件の影響です。
タイのETF(THD)の2025年のパフォーマンスは−12%で出遅れ感が強いです。
株価収益率(PER)は14.9倍、配当利回りは3.34%、株価純資産倍率は1.36倍でリーズナブルです。
