投資戦略
2025年12月22日 08:16
投資戦略をアップデートします。
■バブルの弾け方
最近、メディアでAIバブルということがしきりに話題になります。
逆に「みんながバブルだと騒いでいる間は、バブルは弾けない!」と主張する論客も居ます。
どちらが正しいのでしょうか? ドットコム・バブルの時の例で検証してみましょう。

ドットコム株が軒並み急落を演じたのは2000年の4月第一週です。あの時、「設備投資がぁぁぁぁ!」という絶叫が実に多くの企業から同時に発せられました。上のチャートからもわかる通り、ニュース・メディアの「バブルだ!」という言及は、相場の天井を測るツールとしてはまったく役に立ちませんでした。
メディアが騒ごうが騒ぐまいが……バブルは弾ける時に弾けるのです。
むしろ興味深いのは、いまAIデータセンター工事の遅延が各地で起きているという事実です。
それを語る前に、「そもそもデータセンターの建設って、そんな難しいことなの?」という素朴な質問に答えておきたいです。下はメタがルイジアナ州に建設しているハイペリオンというデータセンターの規模を示す図です。

マンハッタンのミッドタウンを全部占拠するような、デカいスケールであることがわかります。そもそもこれが今世界で建設されているAIデータセンターのうち最大のものではありません。アブダビに計画されているデータセンターは、これより遥かに大きいです。
そんなわけで、いま米国のあちこちではブルドーザーがデータセンターの土地を整地しており、建設労働者がにわか好景気に浴しているわけですが、よく統計を見ると完成したデータセンターの数はむしろ減っていて、実際に工事に取り掛かっている(Underway)データセンターの数すら減っています。唯一、建設計画の発表(Planned)だけが急増しているのです。

その理由は建設にまつわる深刻なボトルネックにあります。中には建設中断(Stalled)する案件も見え始めています。
何が言いたいの?
つまり全てのプロジェクトが予定通りに完成する保証は、どこにもないということです。そして工事の遅延はもろにそのプロジェクトの資金繰りを直撃します。
■フロリダの土地バブルはどう弾けた?
建設工事の遅れがバブル崩壊の引き金になったケースに1920年代のフロリダの土地投機ブームがあります。
1920年代最大のイノベーションは自動車の普及です。

みんな自動車を初めて手に入れると遠出したくなります。折から1914年に第一次世界大戦が勃発し、アメリカもそれに派兵することを決めたので、それまで裕福層はバケーションと言えばヨーロッパに行っていたのですが行けなくなりました。しかも1918年にはスペイン風邪という、新型コロナに似た伝染病が世界に蔓延しました。
そこで注目されたのがクルマで行けるフロリダです。これがフロリダの土地バブルの直接の原因でした。

そこでは未造成地を区画図だけで転売、買い手は頭金10%だけを払うとすぐに転売することが繰り返えされました。
しかしセメント、材木、鉄骨、建設労働者、投機家、観光客の輸送を一本しかないフロリダ・イーストコースト鉄道に頼っていた関係で(=高速道路は未だ未整備でした)ちょうど新型コロナ後の経済再開の時、サプライチェーンのボトルネックが生じたのと同じ現象が起きました。
建設資材が届かない、食料や生活物資の入らない、不動産開発が遅延……投資家の信頼が一気に崩れたのです。
当時、「フロリダは永遠に人口が増える!」ということが言われていました。これは現在の「AIはすべての企業や人々に普及する」というストーリーに似ています。
当時は鉄道輸送能力の限界で建設資材が届かず、それが遅延→バブル崩壊につながりましたが、いまはAIデータセンターの工事の遅延、電力供給・送電網のボトルネックがそれに相当します。
現在、米国は①AIデータセンター建設ブーム、②消費の好調、というふたつの理由で好景気です。
消費が好調な理由は株高で裕福層がいっそうリッチになり、盛大に消費しているからです。
しかしもしAIデータセンター建設ブームが工事の遅延から崩壊すれば、株式市場も調整局面を迎えると思います。すると米国の景気を牽引していた両方のエンジンが止まってしまうのです。

だいたいFRBが利下げを開始した直後は株式市場は下落し、リセッション(赤のシェード部分)が到来します。
したがって今回の利下げ再開も手放しには喜べません。
■投資戦略
私は2026年の投資戦略として米国株をベンチマークに対して少なめ、逆にインド、南米、ベトナム、バングラデシュなどを多めに持つことを提唱しています。
■予想
2026年末のS&P500のターゲットは5500を予想します。
2026年末のドル円は128円を予想します。
2026年末の10年債利回りは3.0%を予想します。
2026年末のフェデラルファンズ・レートは2.50%を予想します。
2026年末の失業率は4.7%を予想します。
2026年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。
2026年末のGDPは+0.0%を予想します。