エヌビディア株よりブロードコム株の方がパフォが良い理由
2025年12月7日 04:04
過去1年間の株価の上昇率を見るとエヌビディア(NVDA)が+28%なのに対しブロードコム(AVGO)は+117%でした。

(出典:マーケットサージ)
とりわけグーグル・クラウドが独自のAI向けシリコン、テンサー(TPU)でジェミナイのパフォーマンスを大幅に改善したというニュースが出て以来、ブロードコムのアウトパフォーマンスが目立っています。グーグルはテンサーの開発パートナーとしてブロードコムを使っています。
本来であればエヌビディアのGPUよりパワフルなチップをデザインすることは至難の業のはずです。
なぜグーグルのチップは「カエル飛び」のようにエヌビディアのGPUを駆逐しているのでしょうか?
その理由は「省略」によるところが大きいです。
オープンAIのようなAI企業が大規模言語モデル(LLM)を作るとき、最初はエヌビディアのGPUのような汎用のパワフルなチップが最も安いコンピュート・コストでそれを実現します。
しかしLLMが出来上がり、インファレンス需要が増えてくると「そろばん」が変わってきます。なぜならユーザーがAIに投げかける質問、いいかえればニーズは、おのずと固定してくるからです。
これは例えて言えばあなたが丸の内に本社がある企業に転職し、いよいよ新しい職場に通い始めたときを想像してもらえば良いです。初出社の日は、地下鉄大手町のどの出口から会社に行くのが一番効率が良いか迷うわけですが、一週間も通うとだんだん自分の通勤経路のパターンが固定してくるのは理解いただけると思います。
これと同じでAIもインファレンスへの比重が増えるに従い、ユーザーの使用パターンは固定してきて、「汎用」はもう不要となり「カスタム」のチップの方が、速く、そして格段に安くタスクを処理できるようになるのです。つまりヘビロテされる使い方にフォーカスし、残りは「はしょる」ことがチップ・デザイナーの腕の見せどころになるわけです。
加えてブロードコムは「しぶちん」な会社として有名で、ケチに徹しています。これはホック・タン(残忍な人切りをすることから「妖怪」というあだ名があります)CEOの質実剛健な経営スタイルに因るところが大きいです。彼は徹底的なコスト・カッターです。だから価格競争に持ち込めば、ブロードコムは楽々エヌビディアを打ち負かすことが出来るでしょう。
半導体のコストだけで比較すれば、ブロードコムのカスタムAIアクセラレーターは50%から70%も安いです。
これから沢山のデータセンターが建設しなければいけないハイパースケーラーは、自分のニーズに合致したシリコンを買い、まるでロールスロイスに乗ってコンビニに行くようなムダ遣いはしなくなると思います。