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スカートの丈と景気変動

2025年11月7日 05:15

1926年に米国の経済学者ジョージ・テーラーが「景気が良いときは女性のスカートの丈が短くなる」という主張をしました。

その理由として当時はシルク・ストッキングが高級品であり、それをはいていることを見せびらかすためにわざとスカートの丈を短くするのが流行ったのだそうです。
 
テーラーの仮説は;
 
景気が良いとき→スカート丈は短くなる
景気が悪い時→スカート丈は長くなる
 
というものです。これをスカート丈指数(Hemline Index)と呼びます。私は今から約40年前に証券会社に入社したとき、上司が大真面目にスカート丈指数を説明していて可笑しさを噛み殺すのに苦労した思い出があります。
 
マーケット・タイミングを測るツールとしてのスカート丈指数は、眉唾物だと思います。

ただザックリとした景況感を掴む上で、スカート丈指数が全く無意味か? と言えば、それはそうとも言えない気もします。
 
一例として『グレート・ギャツビー』で有名な「狂騒の20年代」は女性の社会進出が進みフラッパーと呼ばれる短いスカート、ボブカット、派手なお化粧の女性が闊歩しました。

ところが1929年のパリのオートクチュールではスカート丈が伸び始めました。

その後で1929年の大暴落が起こるわけです。

1930年代にはスカート丈はくるぶし近くまで下がり、大恐慌時代、人々は倹約につとめ、長いスカートで質素な装いが流行しました。

1940年代は第二次世界大戦でミリタリー・スタイルが流行りました。戦争が終わるとスカート丈は徐々に短くなってゆきます。
 
クリスチャン・ディオールは1947年にコロール(花冠)と題したコレクションを発表、のちに「ニュー・ルック」と呼ばれるようになりましたが、このとき既にスカート丈は短くなりはじめていることが良くわかります。

1957年に腹上死(?)を遂げたクリスチャン・ディオールの代わりにイヴ・サン=ローランがディオールの主任デザイナーに就任しますが、トラピーズ(空中ぶらんこ)と呼ばれる、胴の部分がゆったりしたシルエットを打ち出しました。スケート丈が更に短くなっている点に注目してください。

1960年代に入るとメアリー・クヮントがミニ・スカートを流行らせます。

石油危機で景気が悪化した1970年代はマキシと呼ばれるスカート丈の長いスタイルが流行しました。

1980年代には米国の景気は持ち直し、パワー・スーツと呼ばれるスタイルが流行しました。

ただし1990年代はグランジ・ミニとロングが混在しており、スカート丈に一貫性は見られませんでした。
 
スカート丈指数とS&P500(相対スケール、長期平均リターン)を比較すると次のようになります。

さて、2025年春夏コレクションではスカート丈は再び長くなりはじめているという観察があります。今後の景気に注目したいと思います。