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エブリシング・バブルが弾ける時

2025年10月17日 18:53

このところ世界の色々な原資産はすべて同時に騰がる「エブリシング・バブル」の様相を呈していました。

そこでは株式、債券、不動産、プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、暗号資産など、ありとあらゆるものが上昇します。
 
どうしてエブリシング・バブルが起こるのでしょうか?
 
ひとつには超低金利という要因があると思います。
 
2020年2月に新型コロナが世界を席巻し外出できなくなったとき、世界経済はパッタリと停止してしまうリスクに晒されました。そこで米国の中央銀行である連邦準備制度理事会は政策金利であるフェデラルランズ・レートをゼロにして必死に経済を支援したわけです。
 
この応急処置は正しかったと思います。これをしなければ、世界の経済はタイヘンなことになっていたはずです。
 
しかし経済活動が再開した後もずっと低金利を続けたことはだんだん経営者や投資家に横着な考えを植え付け、「レバをかければ、早くリッチになれる!」ということが喧伝されるようになりました。
 
デイトレがブームになり、オプション取引の出来高は過去5年で8倍ちかく増えました。

各国政府は財政赤字がどんどん拡大することを承知で、景気支援策を繰り出しました。これはケインズ流の考えからすれば正しい処方です。しかし、こちらの方も、いまのように経済が正常に戻ったら、ずっと続けるべき政策ではありません。どこかで赤字を圧縮すべきなのです。
 
トランプ政権は外国に対し「アメリカに投資しろ!投資しなければ関税をかけるぞ!」と脅し、スターゲート計画のような巨額のコミットメントを導き出すことに成功しました。しかしこれは政府が後ろ盾になることで、それがずっこけた時(政府の指図で始めたことなので、当然、そのときは面倒みてくれるよね?)というインプリシット・ギャランティーをほのめかすことになり、経営者はいい加減な判断で投資に踏み切ることが横行しています。
 
ビジネスの現場でも、たとえば最近のエヌビディアとオープンAIのアグリーメントに見られるように「お前に投資してやる。その代わりその代金でウチの半導体を買ってくれ!」というような循環的な取引がおおっぴらに行われるようになり、投資家はそれに批判の目を向けるどころか、それを礼賛するような風潮が蔓延しています。
 
投資家のビヘイビアを見ると**「TINA(これ、行くしか無い!)」という、ある種の焦りみたいな気持ちに駆り立てられ、さして魅力も無い投資対象に殺到する傾向が見られます。一例として日本では銀行の普通預金の利子が小さいので、(株式を買わないとインフレについていけなくなる!)という強迫観念が生まれているのはその例です。
 
積立のようなコツコツ投資は基本、良い事ですが、資産価格が舞い上がった状態でも見境無く追加投資する状態を招来してしまうため、買付平均単価が上昇してしまう、バリュエーションに対する嗅覚を麻痺させてしまうなどの弊害をもたらします。
 
さらに
「FOMO(みんなに遅れるな!)」という焦りから、実態のない投資対象に対しても、それが華々しい値動きをしているというだけの理由から、飛び乗ろうとする投資家があとをたちません。小型原子炉、量子コンピュータ、超知能などはすべてそのような実現可能性の低い投資テーマです。
 
普通、このような「エブリシング・バブル」は
流動性のタイト化が起きた時、終焉します。流動性のタイト化とは、銀行がお金を貸さなくなるという意味です。一例として最近起きた自動車のワイパーのメーカー、ファースト・ブランズの破綻で、銀行の経営者は融資基準の厳格化に乗り出しています。するとこれまでお金を借り続けることが出来ていたダメな事業でも、だんだんお金を継続的に借りることができなくなり、それは第二、第三の破綻へとつながります。
 
いまは
「株トレ・アプリ」を通じて、世界の株式や暗号資産を取引できる便利な世界が生まれています。日本やアメリカでは法制度の関係で株式のアプリと暗号資産のアプリは別になっている、あるいはそれらに横断的な与信(=レバレッジ取引をさせること)は行われていないと思います。
 
しかし欧州や中東ではそれらはひとつのアプリで自由に行える国も増えており、だんだん
「暗号資産でヤラレると、普通株式のポジションも減らさないといけなくなる」式のリスクの伝染**が見られ始めています。
 
いま暗号資産の崩れが酷いわけですが、これは次にゴールド、AI、量子コンピュータ、小型原子炉、フュエルセルなどすべての投機的なテーマに飛び火します。
 
「エブリシング」は、終わる時も「エブリシング」なのです。