ベッセント財務長官「中国は世界の足を引っ張っている」
2025年10月14日 15:23
スコット・ベッセント財務長官がフィナンシャル・タイムズの取材に応じ、インタビューの中で「中国は世界の足を引っ張っている」と非難しました。これは先週の米国株の急落後、米国と中国の対話が不調なのでは? という不安を投資家に抱かせています。
「あの国の経済は今とても悪い。だから皆を道連れにしようとしているのでは? お客様を痛めつけるのが良いと考えるのはレーニン的。結果として一番痛手を被るのは中国本人だ」
普段は穏健で仲介役を演じることが多いベッセント長官が、こんな風に名指しで中国を攻撃することは稀で、そこにアメリカの焦りが見え隠れしています。
マーケットが荒れれば荒れるほど不利になるのは米国であり、中国ではないです。その理由はシンプルに米国経済、とりわけ消費は、NY株式市場の動向に大きく左右されるからです。それは投資の世界では**「資産効果」と説明されます。
いま株式時価総額対GDP比率をみると;
米国 217%
日本 164%
インド 134%
中国 64%
ベトナム 43%
バングラデシュ 7%
といった具合です。つまり米国の株式市場は米国の経済に比べて極めて大きな存在なので、それが下がると消費も元気がなくならざるを得ないのです。
そこで中国はわざと米国株が下がるような塩対応をすることで米中の交渉を有利に持っていこうとしている**……そこにベッセント長官が噛みついているわけです。
ちなみに米国人が保有する米国株の9割はトップ1割の裕福層に帰属しているため、株安はおもに裕福層を痛めつけます。米国の消費の5割はこのトップ1割が消費しています。その関係で株安は消費に影を落としやすいのです。
もうひとつ面白いデータポイントは、米国株の外人持株比率は3割に達しようとしているという点です。元来米国株は国内に巨大な資本の蓄積がある関係で、外人動向など誰も気にしないマーケットでした。しかし近年は株式投資のグローバル化で米国の外人持株比率は3割に上がっていると言われています。すると米国株がグラグラしはじめると世界のマーケットへも影響を与えやすいのです。
いま米国株はAIバブルの真っ只中であり、個人投資家は勝ちに気を良くしてボラティリティの高い投資対象に片っ端から殺到しています。量子コンピュータ、フュエルセル(燃料電池)、暗号資産、小型原子炉、宇宙開発、超知能、果ては選挙結果や天気に関する賭け(プレディクティブ・マーケット)がそれです。さらにゴールドもバブルの様相を呈しています。
これらのうちのひとつの投資対象が崩れ始めると、個人投資家は株アプリを通じてそれらすべてをひとつの口座からしばしばレバを用いてトレードしている関係で、例えば暗号資産が崩壊すると、それが他のセクターにも飛び火するリスクがあります。