Skip to content

ウォール街関係者は何故レストランをやりたがる?

2025年10月14日 03:10

私は1988年にアメリカに来て、それ以来ずっと投資の世界で生きていますが、そこで気付いた事として、成功しているトレーダーやファンドマネージャーはレストランなどのお店を持ちたがるということです。

事実、僕の同僚や顧客のヘッジファンドも資産を作るとお店を始めていました。
 
(株式のトレードのほうが儲かるし、本人もそれをわかっているのに、なぜお店を始める?)
 
内心、自分より一足先に成功した彼らを羨ましく思いつつ、ビジネスの決断として「考えが甘い!」と言わざるを得ない彼らの行動を否定したくなる自分が居ました。
 
しかしウォール街関係者がお店を始める理由は「更に儲けるため」でも「事業ポートフォリオを分散するため」でもありません。
 
トレードは外界に残る成果物が無いのが特徴です。いくらトレードが巧く、自分の判断で運命を左右している感覚やリスクを上手くコントロール出来ている満足感が得られたところで、それらは所詮、変動報酬(variable reward=ランダムな報酬が病みつきにさせること)の域を出ておらず、ドーパミンを溢出させることは出来ても深い幸福とは何の関係もないです。
 
幸福は快楽(pleasure)、創造(engagement)、貢献(meaning)の3つの軸を使って定義できると言われています。トレードで充足されるのは「勝った!」という刹那の快楽だけです。それは浅い幸福に他ならず、短期的で、依存症に陥るリスクすらあります。
 
これに対してレストランを開業するというのは創造的行為であり没入・達成感があります。セロトニン体験と言い換えることも出来るでしょう。
 
さらにビジネス・パートナーとレストランを開業すれば、それはパートナーへの貢献も意味し、それはオキシトシン体験に他ならず、持続的な、最も深い幸福が得られます。
 
成功しているトレーダーは本当の幸福はお金で買えないことを知っているのでお店を持つことを渇望するのです。それがどんなに赤字になろうが。