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小型原子炉(SMR)

2025年10月9日 20:13

小型原子炉(SMR)は遠隔地、鉱山、北極圏、軍事施設など送電線が未整備な場所で24時間ベース電源を確保したいロケーションで完全に自立した(=つまり燃料交換なしに10年発電し続けるような)原子炉です。AIブームが引き起こす発電需要で恩恵を被るのではないか? と考える個人投資家から注目されています。

まず断って置かなければいけないのは大半のSMRの計画は設計承認済み、建設中の段階であって、商用運転には至っていません。
 
いま世界で稼働しているといわれているSMRは中国のHTR-PMとロシアの浮体原子力施設(北極圏)の2つだけです。
 
物理的・経済的観点からすればSMRは極めて非効率です。それを安全性、分散性、スピードでおぎなうことを目指しています。
 
まず原子炉の熱効率ですが、基本的にタービンの熱力学(=カルノー効率)で決まるので、大きい炉ほど効率は高く、SMRのようなちいさい炉ほど非効率になります。

もう少し詳細に見れば、原子炉のサイズが小さいと表面積/体積比が高くなり熱損失が増えます。タービンも小型化すればスケールメリットを失います。

ニュースケール(SMR)のSMRは77Mwe、オクロ(OKLO)のオーロラは発電量が1.5MWeで、これは1000戸の住宅に電力を供給できる程度の出力です。

いま大型のAIデータセンターは600MWe、将来建設される巨大AIデータセンターは700~1,200Mweが必要なので、オクロのSMRではぜんぜん話にならないわけです。既存の原発(PWR)は1,000Mweの出力を持っています。
 
原子力の技術者、運転員はIAEAの報告では1980年代のピークから大幅に減少していて新たなSMR運転資格を取得しようという若者は殆どいません。米国原子力規制委員会に認可された原子炉運転免許保有者は3,900人でそのうち3割は60歳を超えておりリタイア寸前です。
 
SMRでも緊急要員、整備員は必要です。また米国のルールでは完全リモート運転は認められていません。ニュースケール、オクロは運転資格者育成の訓練センターを持っていません(計画はあります)
 
現在はひとつのSMRで15~25名の常駐スタッフを必要とします。
 
これに対し現在世界最大規模のAIデータセンターにおけるITの常勤は60名前後と言われています。

つまり人件費の観点ひとつから見てもSMRではソロバンが合わないのです。
 
以上のことから考えて小型原子炉銘柄は絵に描いた餅であり実現可能性は低いと思われます。

(出典:マーケットサージ)

(出典:マーケットサージ)