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なぜAI関連株が下がっている?

2025年8月20日 16:28

今週に入ってAI関連株の下げが目立ち始めています。

いまAWS、アジュール、グーグル・クラウドなどのハイパースケーラーを除き、それらのキャパシティを間借りすることでAIビジネスを構築しているスタートアップにフォーカスすれば、彼らのキャッシュバーン(=資金調達したお金の消費のペース)が急に不安視されはじめているのです。
 
もっと平たい言い方に直せばAIスタートアップはSaaSに比べて湯水の如く浪費が激しいということです。
 
典型的なシリーズA段階のAIスタートアップはバーン・マルチプルが5です。
 
バーン・マルチプルの計算式は:ネット・バーン(キャッシュ・アウトフロー ― キャッシュ・インフロー)÷ ネット・ニューARRです。
 
一例としてARRが$2,000,000から$5,000,000へ増加したAIスタートアップのネット・ニューARRは$3,000,000です。
 
いま仮にこのAIスタートアップが$9,000,000のネット・バーンを経験したとするとバーン・マルチプルは3倍になります。
 
それは顧客を追加することで売上高を伸ばすペースより3倍の速度で調達した資本を燃焼していることを意味します。
 
業界平均で5倍というバーン・マルチプルは、早晩、AIスタートアップ企業のキャッシュが尽きて、追加の資金調達をしないといけないことを意味します。
 
レンタル・モデル(=間借りしているAIスタートアップ)の場合、トークン・コストが営業費用のうち最大の費用を占めています。チャット、イメージ生成などのインファレンス・リクエストを行うたびにトークンの支払い義務が発生します。

二番目に大きな費用項目は人件費だと思います。
 
多くのスタートアップはキャッシュ・ランウェイ(=あと何ヶ月持つか?)が12~18ヶ月になると追加の資金調達の必要が出ます。しかし早めに調達しすぎるとARRが低いので不利なバリュエーションでの調達になってしまいます。
 
VCはAIスタートアップのサービスがどのくらい利用されているか? 独自のインテレクチュアル・プロパティ(IP)を構築しているか?などを勘案しながら追加の投資を考えます。さらにAIアプリのグロスマージン(普通40%前後)がどう推移しているかも考慮します。
 
消費者向けAIアプリのスタートアップに対するVCの見る目は一般に厳しくなりはじめていると言えそうです。
 
幾らハイパースケーラーがAIデータセンターを建設しても、その顧客となるAIアプリのスタートアップの経営が安定しなければ、ゆくゆくはテナントの成長に陰りが見えます。
 
いまアメリカの投資家が心配していることは、つきつめて言えばそういうことです。