米関税国境警備局が1キロの金の延べ棒に関税をかけることを奨励
2025年8月8日 10:55
米関税国境警備局(CBP)がニューヨークの先物取引所でトレードされているゴールドの標準コントラクトである1キロの金の延べ棒は米国の関税コードに従うと関税の対象として捉えられるべきだという判断を7月31日付の決定で示しました。
背景を説明します。ゴールドはロンドンとニューヨークが取引の中心です。
ロンドンで取引されるゴールドの標準サイズは400トロイ・オンスで、これは12.5キログラム、ちょうどレンガくらいの大きさです。
ニューヨークで取引されるゴールドの標準サイズは1キログラム、ちょうどスマホみたいなサイズです。
従ってロンドンからニューヨークへ金の延べ棒が移送される場合、先ずスイスの精錬所にて大きな延べ棒が鋳潰され、小さなサイズに分割された後、ニューヨークに向けて空輸されます。この作業をリサイズと呼びます。
トランプが大統領に当選した去年の11月以降、(いずれゴールドに関税がかかるのでは?)と察知したトレーダーがロンドンに貯蔵されている金の延べ棒をスイスでリサイズしたあとニューヨークへ移送することを始めました。なぜならニューヨークでは関税が上乗せされる分だけ価格がプレミアムで取引されるべきだからです。
その関係でスイスの精錬所でのリサイズ需要が増えたのです。
先週トランプ政権はスイスに対し39%というバカ高い関税率を発表しました。いまスイス政府は大急ぎで関税率を軽減してくれるよう米国に働きかけており、これは近い将来下方修正される可能性があります。
しかし既に沢山のリサイズされた金の延べ棒はニューヨークに到着しているので、今後このアービトラージ取引は下火になると予想されます。
なおCBPの今回の判断は、銅の大部分が関税の対象外になったことで銅価格が急落したのと好対照です。