イランの戦争継続能力は中国にかかっている
2025年6月19日 22:22
イランの戦争継続能力は中国にかかっています。
イランの核施設が米国のB-2ステルス爆撃機で完全に破壊されるというシナリオでも、それは必ずしもレジーム・チェンジを意味しませんし、百歩譲ってレジーム・チェンジとなった場合でもアメリカやイスラエルにとって都合の良い新政権が誕生するという保証はぜんぜん無いと思います。
その理由はイランにとって主な貿易相手はあくまでも中国だからです。イランの原油の89%は中国に買われています。

(出典:EIA)
アメリカやイスラエルはイランと貿易していないので強制力はありませんし陸軍をイランに進めることもできません。だからイランがこれらの国々の言う事を聞くと考えるほうがおかしいです。
一方、中国はロシア(20%)、サウジアラビア(14%)、イラン(13%)、イラク(7%)から原油を買っています。つまりイランは3番目に重要な供給元なのです。
ロシア、イランは西側の経済制裁の対象になっていますが、それでも中国はそれらの国々から原油を買っています。
なぜなら台湾海峡を巡ってアメリカと中国との関係が緊張した場合、中国は西側諸国以外の国々からエネルギーを買う道を確保する必要があるからです。
経済制裁をすり抜けるため、イランと中国はゴースト・フリート(幽霊船団)を利用しています。ゴースト・フリートとは自動IDシステム(AIS)をわざとOFFにして、アイデンティティをわからなくしているタンカーを指します。加えて船名、登記(パナマ、リビア、カメルーン)を頻繁に変更する、沖合でタンカー同士が積み荷をブレンドするなどの方法で原産地を隠蔽する方法も使われています。特にフジャイラ、マラッカはそのような積替え作業を行う場所として知られています。そのようにブレンドし直すことで本来の出荷地の原油の性質(APIグラビティー、硫黄含有率)などを消し去るわけです。
そのような闇原油は中国山東省のティーポット(小規模で老朽化した)精油所に持ち込まれます。それらの精油所はイラン石油の精製に最適化されています。
イラン石油は通常の市況より5~10ドルのディスカウントで取引されています。それを人民元建て、ないしはバーター取引で約定するわけです。イランは2021年に中国との間で25年間の戦略連携条約を締結しています。したがってイランの長期的な戦争継続のスタミナを決定するのは中国だと思います。