投資戦略
2025年6月13日 17:07
投資戦略をアップデートします。
■イスラエルがイランに攻撃
6月13日イスラエルがイランに攻撃を加えました。直接の理由はイランが国際世論を無視し核濃縮を続け、あと少しのところで核弾頭を完成できるところまで来たからです。イスラエルはイランの宿敵であり、イランが核を持つと最初にターゲットにされる国なので機先を制してイスラエルから攻撃を始めたというわけです。
イランはガザではハマス、レバノンではヒズボラという武力勢力を使い非対称的でゲリラ的な方法でイスラエルを脅威にさらしてきましたが、このところガザでもレバノンでも足がかりを失い、手詰まり感が出ています。
今回の攻撃ではイスラム革命防衛隊のトップ3人が同時にターゲットにされ死亡しました。その関係でイランの報復には時間がかかることが予想されます。
ただイランはイスラム教シーア派、イスラエルはユダヤ教という宗教の違いは今後も変わらないので、これで一件落着にはならないと思います。
宗教の話をすれば、イランはその他湾岸諸国とはかなり考え方が違います。**イラン人は自分たちをペルシャ人だと考えておりアラビア湾もペルシャ湾と呼んでいます。**一方、対岸のイラク、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、カタール、UAE、オマーンは自分たちをアラブ人だと考えています。宗派としてはスンニ派が多数派の国が多いです。つまりおなじイスラム教でも仲が良いとは限らないのです。その典型例が1980年代のイラン・イラク戦争で、あのときはミサイルによるタンカー攻撃でカーグ島からの原油の出荷が出来なくなりました。
これからイスラエルとイランの戦争はエスカレートすることもありうるし、頭を冷やし、何事も無かったかのように平静に戻ることもじゅうぶん考えられます。マーケットは後者のシナリオだと決め付けている印象があります。私は(まだそうとは決まっていない)と思います。
そう考える第一の理由は、これでイランの核の脅威が除去されたとは思わないからです。イランは二箇所で核濃縮を行っており、最近3番目のロケーションでも核濃縮を開始すると言われていますがこれらはすべて地下深くとか険しい山の山腹などのロケーションであり、いわゆるバンカー・バスターと呼ばれるパワフルなミサイルでも破壊できません。
次にイランは戦争に明け暮れており世界から鼻つまみ者とされることには慣れています。イスラム原理主義のリーダーたちの立場は揺いでいません。
■サダム・フセインによるクウェート侵攻時との世界のマクロ経済の類似性
現在の世界経済は好景気ですがトランプ関税でインフレは高止まりが懸念されています。この状況は1990年8月2日にイラクのサダム・フセインがクウェートに侵攻した時と共通点が多いです。
その侵攻前、原油価格は$15~17で取引されていましたが、侵攻後、2ヶ月ほどで$35に達しました。イラクとクウェートの原油生産高は合計すると400万バレル、グローバルの供給の7%をしめており、それが出荷できなくなったのがその原因です。
原油価格上昇で米国のガソリン価格も急騰し消費全般が落ち込みました。連邦準備制度理事会(FRB)は金利を高く維持しました。クレジットカード債務の焦げ付きで米銀の業績が悪化しました。
現在イランの原油生産高は330万バレルで、グローバルな供給の3.3%です。一方、サウジアラビア、イラク、クウェート、カタール、UAEの原油、天然ガスはホルムズ海峡を通って出荷されていますがもしイランがホルムズ海峡を封鎖すれば2000万バレル(グローバル供給の20%)の原油がストップすることになります。天然ガスの場合、27%がホルムズ海峡を通っています。
もちろん、これは極端なシナリオです。
しかし現実にイランの支援を受けたイエメンのフーシーが紅海で貨物船などの航行を妨害していることを考えれば、荒唐無稽なシナリオではないと思います。
■慢心
世界の投資家は4月以降の相場の戻りですっかり気分を良くしておりコンプレーセンシーが見られます。そのポジションはいま我々の眼前にあるリスクをちゃんと反映していないと思います。
ちなみにサダム・フセインのクウェート侵攻後、米国株は下落し、米国経済はリセッション入りし、シティコープは倒産しかかりました。
その後でメキシコ株を中心とするラテン・ブームが来ました。
今回も、余計なポジションは落とし、コア銘柄に絞り、新興国・フロンティアマーケットへのシフトを粛々と進めるべきだと思います。
■銘柄
【石油天然ガス】
ダイヤモンドバック・エナジー(FANG)
ペトロブラス(PBR)
【銀行保険】
BBVA(BBVA)
BRAC BANK(バングラデシュ現地株)
ドイツ銀行(DB)
バンコ・サンタンデール・チリ(BSAC)
【カントリーETF】
ドイツETF(EWG)
メキシコETF(EWW)
■予想
2025年末のS&P500のターゲットは5500を予想します。(不変)
2025年末のドル円は141円を予想します。(不変)
2025年末の10年債利回りは4.4%を予想します。(不変)
2025年末のフェデラルファンズ・レートは3.75%を予想します。(不変)
2025年末の失業率は4.4%を予想します。(不変)
2025年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。(不変)
2025年末のGDPは+0.5%を予想します。(不変)