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投資戦略

2025年5月29日 18:32

投資戦略をアップデートします。

■相互関税の行方
5月29日米国国際貿易裁判所がトランプの相互関税を違憲と判断しました。これにより相互関税は10日以内に停止されます。但しトランプ政権は控訴、再審を求める考えです。場合によっては最高裁で争われる展開になるかも知れません。
 
これが意味するところは何でしょうか?
 
ひとつは7月9日のデッドラインを目指して現在行われている米国と各国の関税をめぐる個別交渉がやりにくくなることを意味します。
 
次に相互関税の導入は米国国際貿易裁判所の違憲判決を覆さなければ出来ないことになるので、関税問題の解決自体がずっと先送りになるリスクが増加しました。
 
それは既に愚図愚図した印象を与えている関税論議が、さらに長引き、投資家がウンザリさせられることを意味します。
 
■連邦債務上限引き上げ問題はどうなる?
米国国際貿易裁判所の違憲判決で相互関税がもし使えないということになると現在上院で審議されている「大きくて美しい財政法案」はその誕生前からソロバンが合わなくなることを意味します。なぜなら相互関税を税収の一部としてアテにしてきたからです。
 
これで「大きくて美しい財政法案」そのものが頓挫するとは考えにくいですが、上院は同法案の修正を余儀なくされると思います。上院の夏休みのタイミングを考えれば6月24日前後までに同法案を投票に付し、可決後、大統領の署名を得ることが必要になります。
 
折からムーディーズが米国長期ソブリン格付けをダウングレードし、米国がトリプルAを失ったということもあり、投資家のフォーカスはだんだん米国の財政の不健全さへと移りつつあります。
 
■TACO
トランプ大統領は交渉の場面で、まず相手の横っ面を思い切り引っ叩いて、その後で譲歩するという戦法を使います。これはしばしば**「ハーバード流交渉術」と言われる手法でアメリカのビジネス界ではオーソドックスなやり方です。しかし外交などの場面ではあまり利用されません。
 
高飛車に出た後で「落とし所」を模索するというアプローチは、譲歩という要素を内包している関係で、「トランプはいつも後になって折れている」ということで
TACO** (Trump always chicken out)と揶揄されています。もっとシンプルな表現に直せば「オオカミ少年」化しているわけです。
 
それは市場関係者がトランプをもう恐れなくなっていることを意味し、相場的にはそれは上昇要因と考えられます。
 
■すべての関税が✘になるわけではない
ただ気をつけないといけないのは上に述べた相互関税が仮に使えないということになっても、全ての関税が✘になるということでは無い点です。
 
中国に対する「セクション301」条項を用いた関税、鉄鋼に関する「セクション232」条項を用いた関税、アルミニュームに関する「セクション232」条項を用いた関税などは今回米国国際貿易裁判所が示した相互関税(=IEEPAという、国家非常事態宣言に依拠しています)とは無関係なので、今後も残ります。
 
強いて言えば半導体に対する関税などのセクター関税は逆に相互関税を失った分、強化されるリスクすらあると思われます。
 
■結論
相互関税の問題が裁判所の違憲判決で宙ぶらりんになったということは、関税問題が解決したのではなく、より混沌とし、すべてが先延ばしになったことを意味します。
 
■銘柄
【小売】
LPP(ワルシャワ現地株)
 
【レジャー海運】
ターリンク(エストニア現地株)
 
【石油天然ガス】
ダイヤモンドバック・エナジー(FANG)
 
【素材】
サザン・カッパー(SCCO)
 
【銀行保険】
BBVA(BBVA)
BRAC BANK(バングラデシュ現地株)
ドイツ銀行(DB)
アリアンツ(ALIZY)
HDFC銀行(HDB)
バンコ・サンタンデール・チリ(BSAC)
 
【通信インターネットサービス】
ヴィーオン(VEON)
プロサス(PRX AEB=アムステルダム取引所)
コーエンサークル(CCIR)
 
【航空機製造】
ボーイング(BA)
 
【カントリーETF】
ドイツETF(EWG)
メキシコETF(EWW)
インド小型株ETF(SMIN)
チリETF(ECH)
コロンビアETF(GXG)
 
■予想
2025年末のS&P500のターゲットは5500を予想します。(不変)
 
2025年末のドル円は141円を予想します。(不変)
 
2025年末の10年債利回りは4.4%を予想します。(旧予想3.7%)
 
2025年末のフェデラルファンズ・レートは3.75%を予想します。(不変)
 
2025年末の失業率は4.4%を予想します。(不変)
 
2025年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。(不変)
 
2025年末のGDPは+0.5%を予想します。(不変)