米国国際貿易裁判所がトランプの相互関税を違法と判断
2025年5月29日 11:11
米国国際貿易裁判所がトランプの相互関税を違法と判断しました。
米国国際貿易裁判所は関税、貿易に絡む法的紛争に関する問題を扱う連邦裁判所です。
3人の判事から成る裁判所はトランプの相互関税は議会が大統領に一任している貿易に関する大統領令の範囲内を逸脱しているとし、10日以内に相互関税を停止することを米政権に命じました。
具体的にはトランプが「非常事態!」を宣言することで関税を課すやり方が「平時で戦争すらないのに非常事態というのは越権だ」と判断されたということです。
いま世界各国は相互関税を巡り米国と交渉を続けている真っ最中なので、そもそもトランプ政権に相互関税を課す権限が無いということになると交渉すること自体がバカバカしくなってしまいます。
マーケットはこのニュースを好感し、米国株は買われています。米ドルも少し買われています。
しかしちょっと深く考えると、物事はそれほど単純ではないことがわかります。
なぜなら関税は現在上院が審議している「大きくて美しい法案」でも重要な連邦政府の収入の項目を構成しているわけで、相互関税を課すことが出来ないということになると財政法案のソロバンすら合わなくなるわけです。それは法案通過を難しくします。
法案が成立しなければ、連邦債務上限引き上げ問題も振り出しに戻り、下手をすれば米国がテクニカル・デフォルトになるリスクが再燃するのです。
トランプ政権は今回の判決に控訴、再審を求める考えです。
米国の憲法では通常下院が関税を決定する権限を持っています。しかし1970~80年代の日米貿易摩擦の頃、米議会は「関税に関しては大統領に権限を移譲しよう」という一連の決議をし、大統領の一存で大統領令を発令できるようになりました。
問題はその細かい言い回しにあり、「米国が普通ではない、甚大な脅威にさらされている」から、これを「非常事態!」と捉え、目には目をという相手にやられているのと同程度の報復関税を導入することを「相互関税」と呼ぶ……そういう論法自体に、ムリがあるというのが米国国際貿易裁判所の今日の判断というわけです。
また同裁判所は「米国連邦政府の財政赤字を改善することが緊急事態だとして相互関税でそれを改善しようとするのは、貿易の法律の定義に合致しない」とも述べています。
いずれにせよ、これで一件落着というわけではなく、事態は一層コミカルで頓馬な展開になってきたということです。
そうでなくても最近のトランプは、やること成すこと「TACO(Trump always chicken-out)」という造語で笑いものにされています。トランプは、いつも竜頭蛇尾、最初は大きく出るけれど、あとで引っ込めるというわけです。
いよいよ大統領のクレディビリティーが試され始めているわけです。