投資戦略 予想に変更あり
2025年5月12日 19:51
投資戦略をアップデートします。
■米中の関税交渉が大幅に前進
米国は90日間、中国に対する関税をこれまでの145%→30%へ下げることに合意しました。
その30%の内訳はフェンタニルの密輸に対する制裁分が20%、相互関税が10%です。
これに呼応して中国も対米関税を125%→10%に90日間引き下げます。
市場関係者は145%→34%への減免を予想していたので、これは予想以上に大きな減免幅であり、市場はこれを好感しています。
その結果、米国株、ドルは急騰し、ゴールド、それ以外の通貨は急落しています。
フェンタニルが米国にもたらす脅威に関し、中国側が深い理解を示し始めたと米国の代表団はコメントしました。
FFレートの先物が織り込む今年の利下げ回数は3回→2回へ減りました。つまり市場関係者は関税がもたらす景気後退リスクが減ったと解釈しています。
同様に関税がもたらすインフレリスクに関しても減ると考えるのが自然です。
ただし米国政府の歳入不足は、アテにしていた関税収入が予想を大幅に下回るので、一層悪化します。8月に議会が夏休みにはいるまえに連邦債務上限引き上げのリミットが来るので、予算法案を早急に可決し、長期ソブリン格付けダウングレードを回避する必要が高まります。
すでにトランプ大統領は「年収250万ドル以上の裕福層の税率を37%から39.6%へ引き上げても良い」ことをシグナルしており、選挙の公約とは違う路線を打ち出し済みです。
先日発表された英国に対する関税の内容から見ても、トランプ政権は「相互関税は一律10%として、後はそれに少しだけ国別で色を付ける」という方針にシフトした印象があります。
もしそれが対欧州の交渉にも当てはめられるのであれば、関税は10%に近くなるわけで、欧州におけるインフレ・リスクは後退します。ただし1兆ユーロのドイツの財政出動だけは関税に関係なく継続するので、ドイツの好景気とそれがインフレ圧力を生む点は変わりません。
■投資戦略
以上の重要な進展に基づき、予想を変更します。
まず2025年末のドル円の予想はもともとの予想だった141円に戻します。
次に2025年末のフェデラルファンズ・レートの予想は3.75%とします。
さらに2025年末の失業率の予想は4.4%に引き下げます。
つまり以前に予想していたような、関税が米国経済を大きく痛めつけるシナリオは後退したのです。
ただし朝令暮改なトランプ政権の不確実性は変わらないので、ドルが年初の水準に前戻しすることは考えにくいです。
一方、ウクライナとロシアの停戦は5月15日のイスタンブールにおける話し合いで前進することが予想されます。当面はここにトレーディング・チャンスがあります。
パキスタンとインドもトランプの仲裁で停戦が成立しました。インド株は買われると思います。パキスタン株も株価収益率(PER)は5倍であり極めて割安です。
全体として、去年までの「米国一択(TINA)」の投資戦略より「代替投資先は世界にたくさん存在する(TAMA)」という相場観の方を世界の投資家は支持すると思います。
■銘柄
【銀行保険】
BBVA(BBVA)
BRAC BANK(バングラデシュ現地株)
ドイツ銀行(DB)
アリアンツ(ALIZY)
HDFC銀行(HDB)
バンコ・サンタンデール・チリ(BSAC)
【通信インターネットサービス】
ヴィーオン(VEON)
プロサス(PRX AEB=アムステルダム取引所)
コーエンサークル(CCIR)
【航空機製造】
ボーイング(BA)
【カントリーETF】
ドイツETF(EWG)
メキシコETF(EWW)
インド小型株ETF(SMIN)
チリETF(ECH)
コロンビアETF(GXG)
■予想
2025年末のS&P500のターゲットは5500を予想します。(不変)
2025年末のドル円は141円を予想します。(旧予想128円)
2025年末の10年債利回りは3.7%を予想します。(不変)
2025年末のフェデラルファンズ・レートは3.75%を予想します。(旧予想3.25%)
2025年末の失業率は4.4%を予想します。(旧予想4.7%)
2025年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。(不変)
2025年末のGDPは+0.5%を予想します。(不変)