投資戦略
2025年5月3日 18:58
投資戦略をアップデートします。
■AIの近況
米国の大手ハイテク企業が決算発表を終え、AI設備投資に対する各社の考え方が示されました。結論から言えば大手ハイテク企業はAI投資を横ばいで維持か、メタ・プラットフォームズのようにさらに積み増すケースはあったものの、計画を縮小するという発表はありませんでした。これはエヌビディアの株主にとってはホッと一息つくことが出来るニュースでした。
データセンター部門の売上高ではマイクロソフトのアジュールが+33%と良いモメンタムを維持していたのですがアマゾンのAWSは売上高成長率が+18%台から+16%へ鈍化しましたしグーグル・クラウドも減速しています。つまり先行投資してAIファクトリーのキャパシティを外部顧客へ貸し出すことにより売上高を得るビジネスモデルはだんだん推力を失っているわけです。マイクロソフトが好調な理由は早くからオープンAIとタグチームを組み、エンタープライズ(=法人)向け営業に力を入れた為です。つまりマイクロソフトのAIが他社より優れているというよりは、昔ながらのマイクロソフトの強みである法人営業が力を発揮したにほかなりません。
■米国の大手ハイテクは昔ほど成長していない
米国の大手ハイテク企業はテスラを除いてちゃんと「良い決算」を出しています。しかし売上高成長率は新型コロナ発生直後の前年比+50%というような猛烈な成長率には程遠いです。
AAPL +5%
MSFT +15%
AMZN +9%
GOOG +12%
META +16%
TSLA -9%
全体的にはこれらの売上高成長率は今後さらに鈍化してゆくと思われます。そのような環境ではこれらの銘柄が昔のような高バリュエーションを取り戻すことは困難です。さらにアマゾンとメタに関しては中国に対する関税の影響をこれから受け始めます。
■世界で成長しているのは何処か?
米国の成長は2025年第1四半期はたぶんマイナス成長になると見られています。これは関税前の駆け込み輸入が激増したことが原因で、GDP計算上の算術的理由なので余り問題視する必要は無いと思います。しかし秋以降は本格的に関税がキックインするので、値上げと景況感の悪化のダブルパンチでGDP成長率は鈍化が避けられません。
米国の成長に翳りが見えてきたので「それでは一体、どこが成長している?」ということを世界の機関投資家が気にし始めています。銀行セクターの利益成長を例にとれば米銀が;
JPM +6%
BAC +18%
C +24%
GS +8%
MS +29%
という具合なのに対して;
DB +44%
BRAC BANK +73.0%
という感じで世界には米銀より遥かに高い成長をしている銀行はゴロゴロあります。
ドイチェバンク(DB)は債券部が強く、今後ドイツ政府は1兆ユーロの資金調達を主にドイツ国債を発行することで賄うので同行のトレーディングルームは大活況を呈するはずです。当分の間、目を見張る好業績を続けると思います。
バングラデシュのBRAC BANKは堅実経営で知られた銀行ですが、去年、ハシナ首相が学生運動に耐えかねてインドに亡命した際、ハシナ政権と癒着していた銀行の幹部も次々に表舞台から姿を消しました。それらの腐った銀行から預金が逃げ出し、安全なBRAC BANKへと預け替えが起きました。2024年第4四半期の預金成長率は前年同期比+32.1%、税引後利益成長率は+73.0%でした。政変で経済はやや鈍化したので、どんどん飛び込んでくる預金を主に国債で運用しました。貸付原資を安定化する意図でわざと預金金利が高い定期預金を窓口で薦めた関係で預金コストは上昇しました。しかしこれは外部に調達を頼らなくて済むようにわざと純金利マージンを犠牲にする極めて保守的で石橋を叩いて渡るような経営だと評価できます。BRAC BANKはPER7.9倍で取引されており、インドのHDFC銀行(20.7倍)、ICICI銀行(19.8倍)に比べると割安です。
■相場観
米国株は4月7日にザラバ安値4835で大底を付けフラフラと戻しています。いまはサマーラリーの真っ只中であり、このままついて行くのが良い戦略だと思います。しかし今年の高値に接近した場面ではどんどん米国株の処分を進め、ドイツやフロンティアマーケットのような新鮮味のあるストーリーにシフトすべきです。
■銘柄
【銀行保険】
BBVA(BBVA)
BRAC BANK(バングラデシュ現地株)
ドイツ銀行(DB)
アリアンツ(ALIZY)
HDFC銀行(HDB)
バンコ・サンタンデール・チリ(BSAC)
【通信インターネットサービス】
ヴィーオン(VEON)
プロサス(PRX AEB=アムステルダム取引所)
コーエンサークル(CCIR)
【航空機製造】
ボーイング(BA)
【カントリーETF】
ドイツETF(EWG)
メキシコETF(EWW)
インド小型株ETF(SMIN)
チリETF(ECH)
コロンビアETF(GXG)
■予想
2025年末のS&P500のターゲットは5500を予想します。(不変)
2025年末のドル円は128円を予想します。(不変)
2025年末の10年債利回りは3.7%を予想します。(不変)
2025年末のフェデラルファンズ・レートは3.25%を予想します。(不変)
2025年末の失業率は4.7%を予想します。(不変)
2025年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。(不変)
2025年末のGDPは+0.5%を予想します。(不変)