チリ
2025年4月18日 04:07
チリは新興国の中で優等生的な存在です。その理由なのですが、まず1990年以降、チリは中央銀行の独立性を強化し、インフレ・ターゲットを導入、長年に渡って比較的低いインフレ率をキープしてきました。

(出典:チリ中銀、トレーディングエコノミクス)
チリの政府は責任ある財政政策を取ってきました。具体的には財政収支を均衡させることに努めてきました。

(出典:チリ中銀、トレーディングエコノミクス)
さらに対外債務をむやみに増やさず、高い格付け(ムーディーズ;A2、S&P:A、フィッチ:A-)を維持しています。
チリは法の支配を重視する国で契約がちゃんと履行される国として知られています。
チリの資本市場は良く発達しており、流動性が高いです。また先進国並みの年金制度(AFP)があり、年金基金による株式・債券投資も活発です。
チリは世界最大の銅の生産国であり国庫収入の14%を賄っています。政府系企業、コデルコは世界最大の銅生産会社です。2024年の生産高は144万トンでした。同社は世界最大の地下銅鉱山エル・テニエンテ、かつて世界最大の露天掘り銅山だったチュキカマタなどを持っています。チリの確認埋蔵量は約2億3千万トンで、世界全体の22%を占めています。
これは政府系企業ではないのですが、チリで操業している外国企業にBHPがあります。BHPは世界最大の露天掘り銅山、エスコンディダを持っています。
チリにはもうひとつ重要な資源があります。それはリチウムです。SQM(ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ)は世界最大級のリチウム生産会社です。チリ北部のアタカマ塩原にてリチウム塩水の抽出・加工を行っています。
そのような資源国にもかかわらず「資源国の呪い(=ダッチ・ディジーズ)」が顕著でないことでも知られています。
銅の輸出により高い外貨準備、経常赤字を少しに抑える、ペソの安定などを享受しています。

(出典:チリ中銀、トレーディングエコノミクス)
2019年、地下鉄運賃の値上げを発端とした**社会爆発(エスタリード・ソシアル)**と呼ばれるデモが発生しました。その背景には貧富の差が拡大していることがあります。
チリの憲法は1980年にアウグスト・ピノチェト軍事政権下で制定されたもので、あまりにも市場原理中心で社会保障の民営化など新自由主義色が強く、それが批判の対象となっていました。
2020年の国民投票では新憲法制定賛成78%と圧倒的な支持を得て新憲法策定が動き出したのですが、2022年9月の新憲法案の国民投票はジェンダー平等など急進的な草案となっており、反対62%で否決されました。
そこでより中道・保守が主導する制憲プロセスが再スタートしたのですが、この草案も55%の反対で否決されました。
現在、改憲論議は棚上げとなっています。
機関投資家はこのような状態をむしろ好感しています。