上院共和党が2017年の「トランプ減税」の恒久化を狙う 「財政に悪影響は無い」というその主張が通らない場合、連邦債務上限引き上げ問題が再燃か?
2025年4月4日 13:20
上院共和党は2月に下院が可決した「大きな美しい法案」を審議し、それを修正して上院の対案を固め、明日土曜日にも投票に付すところへ来ています。
この法案では連邦政府の予算だけでなくトランプ減税の延長、国境警備、防衛費なども含まれ、単なる予算法案より膨らませてあります。「大きな」という連体詞が付く理由はそこにあります。
ところが上院共和党は重要な修正を加えることで2017年のトランプ減税を、もう5年間の延長ではなく、恒久化することを目論んでいます。これはもちろんトランプ大統領の悲願でもあります。
上院予算委員長のリンゼー・グラハム共和党議員(サウスカロライナ州)は、「2017年に成立したトランプ減税は、実は連邦政府の予算に対するインパクトはゼロだった」と主張しはじめました。
もしそれが事実なら今年期限切れになる時限法案は恒久化できるからです。
**もちろん、これは事実ではありません。2017年のトランプ減税は米国の財政赤字を悪化させました。
いま審議されている上院案は明日にも投票に付されます。それが可決された場合、上院の修正案はもう一度下院に戻され、下院で可決されなければいけません。下院は事実に反する上院案の国庫収支算出根拠に難色を示す可能性があります。
当初、連邦債務上限引き上げ問題の期限は3月14日でした。しかし2月に下院が「大きな美しい法案」を可決したことから、財務省は「非常措置(extraordinary measures)」により「やりくり」**することで既に36.1兆ドルの債務上限のリミットまで来ている米国の台所を、今年の8月くらいまでなんとか辻褄を合わせる手法を見切り発車で開始しました。
具体的にどのような「やりくり」が可能かといえば;
1. 連邦リタイアメント基金への入金を後回しにする
2. 既に投資してある分を繰り上げ償還する
3. 貯蓄プランへの追加投資を見合わせる
などになります。
もし上院で可決された上院案が下院に回され、下院でも可決されなければ、予算審議は振り出しに戻り、8月までの限られた時間の間に再度トライしなければいけなくなります。
その場合、米国の長期ソブリン格付けのダウングレードなどのリスクが生じます。