投資戦略
2025年3月23日 12:45
投資戦略をアップデートします。
■4月2日がDデー
世界の投資家は4月2日にトランプ政権が発表する相互関税がどのようなものになるのかを固唾をのんで見守っています。これが発表されるまでは余り大きく動けないと感じています。
トランプ政権は最近の米国株の下落を気にしており4月2日の相互関税の発表に際してはなるべく市場を混乱させないよう手加減するだろうと言われています。つまりサイアクなニュースは出ない可能性も高まってきたのです。
しかし長期的にはトランプ政権は関税による国内産業保護をガッツリ推し進めてゆく決意を変えておらず、4月2日の発表が穏健なものであってもガードを下ろすわけには行きません。
相互関税の内容については未だ最終的には固まっておらず土壇場で変わる可能性もありますが、EU、中国、日本、韓国などがターゲットにされるだろうというのが下馬評です。EUや日本の場合、それらの国々が輸入品に課している平均関税率は米国が現在課している平均関税率と大差ないのですが、「付加価値税や消費税も関税と同じだ」という発想から報復の対象にされると言われています。
関税は三つのインパクトを与えます。
まず米国が海外からの輸入品に関税を課せば、通関業者がそれを一旦立替払いし、そのコストは輸入元が通関業者にリインバース(払い戻し)します。輸入元はこのコスト増を補うために最終販売価格を引き上げることで元を取ります。つまり関税のツケは米国の消費者に回ってくるということです。最終販売価格が上昇するということはインフレ誘発要因です。
二つ目のインパクトは輸出国が米国市場の優先順位を落とし、米国抜きで商売するということです。実際、中国はベトナムやインドネシアに対する輸出を増やしており、インドネシアでは安い中国製品が国内産業を駆逐することが起きています。貿易を通じ、それぞれの国が自分が得意とする産業や分野に特化し、そうでない分野に関しては輸入で済ませる…という比較優位の原理は全体として成長を加速する結果をもたらすことが知られています。するとその輪から米国だけが外されるということは長期で見れば米国の成長率がその他の国に比べて相対的に低下するリスクがあるということです。
三つ目のインパクトとしては輸出する側の国が為替を安く導くことでコスト増を吸収する可能性があるという点です。これは2017年にトランプが関税を導入した際、中国がそうしました。しかし今回に関しては現時点では前回と同じような為替による調整が起こるかどうかは判然としません。
トランプ政権は相手国のそのような為替操作による関税インパクトの吸収を**「ずるい!」と考えており、そのようなことが実際に見られた場合は更に追加的な関税を課すことで報復する考えです。
■米国株
米国株は3月13日にS&P500指数がつけた5,500のザラバ瞬間安値が目下の底となっており、反発の機会を模索する展開です。ただセンチメント的には極端な弱気に振れていません。プットコール・ボリュームも底打ちに必要な1.1には程遠いです。
ここまでの下げはマグニフィセント・セブンに加えてウォルマートやコストコのようなモメンタムで買われてきた銘柄が主に売られました。「上がるから買う、買うから上がる」式のモメンタム投資が見事に逆流しているわけです。
それ以外のセクターや銘柄はそれほど下げがキツイわけではなく、その意味においてトランプ政権発足後の下げはニフティ・フィフティ相場の崩壊と良く似ています。**
マグニフィセント・セブンのEPS成長は、このところ鈍化が顕著です。その一因は莫大なAI投資にあります。設備投資はそれが行われた期の利益には影響はありませんが、それ以降は償却負担が発生します。通常、データセンターの場合、5年ないし6年で償却するので、設備投資額の20分の1、ないしは24分の1はコストとして粗利益から引き算になります。このところ各社はAI投資をどんどん積みましてきたので、後になればなるほど、償却負担は重くのしかかってきます。これがEPS成長率鈍化の一因です。
つまりAIは「ブームの後始末」の局面に既に入っており、積極投資を繰り返してきた大型株だけがその負担に苦しむ展開になっているのです。
■為替
上に述べたように貿易で「米国外し」が始まり、そもそも米国の輸入量が減るとドルへの需要も減るのでそれはドル安に拍車をかけます。
トランプ政権自体が為替をドル安へ誘導することで国内産業の保護を考えているのでドル資産への投資のリスクは馬鹿にできません。
海外の投資家目線では米国株安とドル安のダブルパンチを食らうリスクがあるわけです。
■ドイツ
ドイツは3月21日の議会の投票で憲法改正を可決しました。これで「財政バズーカ」の出動が本決まりになったわけです。
ドイツ株のアウトパフォーマンスはわずか三週間前に始まったばかりで、その前の15年間は蚊帳の外でした。従ってストーリーに新鮮味があるし、今なら相場の一階部分から乗って行けると思います。
今回の予算内容を見ると兵器の購入に大きな予算が割かれているのは当然として、それ以外にも道路、橋梁、グリーン・エコノミーへの投資など、幅広い分野への投資が盛り込まれています。そのことはドイツ経済全般に財政出動の効果が行き渡ることを意味するので、ドイツ株はすべて買いだと思います。
■ポートフォリオ
米国株はバリュエーション、成長のどちらの観点からも魅力無いです。いま世界には米国株に勝る投資機会はゴロゴロあります。
VTIのみを保有している投資家はポートフォリオの一部をVXUSへシフトすることを強くオススメします。その他、EWG、IEVも良いです。
新興国、フロンティアマーケットで最も魅力ある市場はバングラデシュです。とりわけBRAC BANK(現地株)は長期のコア銘柄と考えています。
ウクライナ復興関連銘柄としてコーエン・サークル(CCIR)、**ヴィーオン(VEON)も良いと思います。
ETFではインド小型株ETF(SMIN)、ベトナムETF(VNM)、インドネシアETF(EIDO)、メキシコETF(EWW)、ポーランドETF(EPOL)**が良いと思います。
■予想
2025年末のS&P500のターゲットは6300を予想します。(不変)
2025年末のドル円は141円を予想します。(不変)
2025年末の10年債利回りは3.7%を予想します。(不変)
2025年末のフェデラルファンズ・レートは3.25%を予想します。(不変)
2025年末の失業率は4.7%を予想します。(不変)
2025年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。(不変)
2025年末のGDPは+0.5%を予想します。(不変)