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「モノに対する関税」をかけた後は「カネに対する関税」も検討される? 金融取引税の恐ろしさ

2025年3月20日 11:29

結局のところ米国株投資や米国債投資もモノの輸出同様、ドルへの需要を増すという点でドル高要因です。

関税の主眼がアメリカへの輸出を抑制することを通じドル安を演出し、米国内の産業の輸出競争力をUPするということにあるのなら、米国株、米国債への投資も「歓迎せざる行為」ということになります。
 
トランプ政権は、究極的には米国株投資や米国債投資に対しても「カネに対する関税」すなわち金融取引税を導入することを、すくなくともコンセプトの上では考えています。
 
あまりに突拍子も無い概念なのでこれを読んでいる読者の中には戸惑われる方もいると思いますが、実は金融取引税は多くの国で実施されてきました。
 
中でもブラジルが2009年から2013年にかけて実施した金融取引税(IOF:Imposto sobre Operações Financeiras)では2%から6%の税金がかけられ、その税率の過酷さで有名です。
 
当時はいわゆるBRICsブームの最終局面であり、世界の投資家のマネーが新興国へ向かっていたのでブラジルもレアル高で国内産業が競争力を失うという事態に苦しんでいました。そこで一気にレアル安を演出する手法として外国人投資家が狙い撃ちにされたのです。
 
IOFは短期資本の流入の減少に一定の効果を上げました。
 
ブラジル以外にもタイ、インド、韓国、フランス、イタリア、コロンビアなどの国々が金融取引税を導入したことがあり、この概念は突拍子もない事ではありません。
 
スコット・ベッセント財務長官や最近、大統領経済顧問に就任したシュテファン・ミランはヘッジファンドの出身でありこのような税金のかけ方が存在することは熟知しています。
 
さて、金融取引税で外国の投資家が恐れをなして投資先からお金を引き上げると、それとタイミングを同じくし、ないしはそれより少しだけ遅れるタイミングでその国の国内投資家も資本逃避というカタチで外国へこっそりお金を逃がすことを始めます。これは実際にブラジルで起こったことです。
 
実際2015年から16年にかけてはブラジル・レアルの急落から財産を守るため、多くのブラジル人は資産を海外に逃しました。

ポピュラーなやり方としては米国のマイアミ、スイス、ケイマン諸島などに銀行口座を開設する、ポルトガルのゴールデンビザ制度を利用するなどの方法があります。
 
結論として、現時点ではトランプ政権は金融取引税を具体的に導入することは検討していないと思います。しかしコンセプトとしてはそういうことも可能ということはトランプの経済政策を立案している閣僚たちは熟知しており、もし十分にドル安を演出できない場合は、たとえば噂されている「マー・ア・ラーゴ合意」の一環として金融取引税導入の観測気球が上げられる可能性もゼロではないのです。