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この2週間でドイツに起きたことのまとめ

2025年3月9日 14:34

この2週間でドイツは豹変しました。アメリカがずるずるとだらしなく国際社会でのステータスを下げている一方で、「Germany is back!」という声が強いです。

2月23 日の総選挙の結果は;
 
キリスト教民主社会同盟(CDU/CSU)208議席 28.5%
ドイツのための選択(AfD)152議席 20.8%
社会民主党(SPD)120議席 16.4%
緑の党 85議席 11.6%
左派党 64 議席 8.8%
以下省略
 
でした。
 
2月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領と米国のトランプ大統領のミーティングは、言い合いになり、米国のウクライナ、ひいては欧州に対するコミットメントが薄いことを見るものに痛感させました。ヨーロッパが独力でロシアの脅威から自分たちの身を守る必要が出てきたのです。
 
同じ日、CDUのメルツ党首はヨルグ・クーキス前財務大臣と昼食し、ドイツの長期に渡る経済低迷により向こう4年間で合計1,300億ユーロの財政赤字に陥るという予想の説明を受けました。
 
つまりドイツに必要なのは;
 
1. アメリカなしでもNATOでロシアに対抗できる軍事力を持つ
2. 財政散布で景気テコ入れすることで産業の足腰を立て直し、将来の増収を期待する

 
という道なのです。
 
そこで軍事費増額と、連立政権のパートナーとなるSPDが要求するインフラストラクチャへの大型投資約5000億ユーロの合計1兆ユーロを主に国債の発行で賄う決心をつけました。
 
現在、ドイツの憲法では債務ブレーキ(Schuldenbremse)という、単年度での構造的財政赤字をGDPの0.35%にとどめる努力目標があります。この「シュヴァルツ・ヌル(黒字均衡)」のメンタリティーをまずやめる必要があります。
 
この
憲法改正には議会の3分の2の賛成が必要
です。
 
1兆ユーロという金額は1990年に東西ドイツが統合された際に旧東ドイツを支援するために組まれた特別予算の規模を上回るもので、しかも当時は「ドイツ全体としては賃金上昇をとうぶん諦めてくれ!」という社会合意の下に経済統合が推し進められた経緯から、そのような足かせのない今回のほうが景気浮揚効果は高いと思われます。
 
ヒトラーが第二次世界大戦をおっぱじめ、ヨーロッパ中に迷惑をかけた歴史から、ドイツ以外のヨーロッパ諸国はドイツが再軍備することは警戒してきました。しかしいまは「NATO欧州諸国だけでロシアに対抗しないといけない」という危機感からそれらの国々もドイツの軍事費増大に賛成の意見です。
 
**ドイツの債務がGDPに占める割合はわずか63%**に過ぎません。従ってドイツ国債の消化は問題なく実現できるでしょう。
 
3月25日に選挙前の議会が最後の討議を行う際、上記の憲法改正が議題にかけられる可能性があります。
 
ドイツ株式、そして欧州株は全般に見て米国株より遥かに安く、魅力があります。これまで財政出動という「奥の手」を一度も使わなかったので、もし憲法改正が成立するとその起爆力は大きいです。
 
ドイツの財政赤字はGDPの2.8%であり、アメリカの6.2%より遥かに健全です。言い直せば、アメリカがなぜ政府効率化省(DOGE)で公務員の削減を進めているか? と言えば過去の放埒な財政を引き締めないといけないときが来たからであり、アメリカとドイツの立場は180度違っているのです。
 
なぜドイツをはじめとするヨーロッパ株が突如としてアメリカ株をアウトパフォームしはじめたか? その理由は上のようなものになります。
 
なお新興国、フロンティア・マーケットも財政が健全で外貨準備が潤沢なところが多いです。するとアメリカだけが✘で、その他世界がオッケーという株式市場におけるパフォーマンスの大逆転が起きる可能性が濃厚です。