投資戦略
2025年2月14日 16:18
投資戦略をアップデートします。
トランプは相互関税の導入検討を各省庁へ指示しました。実際の導入は4月2日以降になる見込みです。相互関税とは、いま高い輸入関税を課している国でアメリカ製品がそのために排除されているケースで報復としてアメリカもその国に同じ関税率を課すという考え方です。「目には目を、歯には歯を」というわけです。
実はいま高い輸入関税を外国製品に課している国は新興国に多いです。具体的には均して言えば;
インド 17%
ブラジル 11%
ベトナム 9%
という感じです。ちなみに日本は4%で米国の3%に近いです。EUは5%です。東南アジア諸国やアフリカ諸国は米国の農産物や自動車に高い関税をかけています。
これらの国が高い関税を課している理由は国内産業の保護育成のためです。
一例として既製服産業が経済で重要な地位をしめるバングラデシュ、カンボジア、ベトナムなどはいずれも高い関税率ですのでトランプの相互関税で打撃を受けるリスクがあります。しかしその場合でも「どの国が相対的に関税率が低く、マーケットシェア・ゲインになるか?」という点に関しては現在の段階では判然としません。GAP、ラルフローレン、アーバン・アウトフィッターズなどの株価を見る限りは相互関税のインパクトは織り込まれていません。しかし中国からの報復関税の対象となったカルヴァン・クラインを持つPVH株は売られています。
なお今回のトランプの措置では非関税障壁、消費税、付加価値税、企業に対する補助金を出している国などもターゲットにされます。
関税が導入されると自動車、エレクトロニクス、衣料品、食品の小売価格は上昇すると見込まれます。それはインフレを誘発します。消費者は買い控え行動に出ることが予想され米国景気は失速するリスクもあります。
実際、トランプが大統領に就任してから、トランプが保護しようとしている国内産業の株式は一般に冴えず、不況の際に強いディフェンシブ銘柄がアウトパフォームしています。言い換えれば株式市場はいずれ不況が来ると絶叫しているわけです。
ドルも関税導入→インフレ誘発→政策金利高止まり…ならドル高になると考えるのが普通ですが、実際にはいまドル安基調となっています。「関税の導入がおもったよりゆっくりしたペースだからだ」という説明がありますが、これは説明としては苦しいと思います。なぜなら今後も関税はだんだん強化されてゆくとトランプ政権はシグナルしているからです。むしろ自然な説明は関税導入が誘発する**「価格ショック」がリセッションのトリガーになるというものです。
つまりアメリカが自分で自分の首を絞める**結果に終わるリスクがあるのです。ウォルマートやコストコの株価は不況到来のリスクを正しく織り込んでいません。ダウンサイドリスクがあると思います。
いま世界の金利政策を見ると欧州は既に貿易戦争がトリガーする不況を見越し、利下げに転じています。欧州中央銀行はこれまでに5回利下げしましたし、今後も利下げを継続するスタンスです。
欧州株式市場は金融相場の真っ只中にあります。
一方米国の連邦準備制度理事会(FRB)は3回利下げした後、関税がもたらすインフレに備えるため、利下げの手を休めています。政策金利は高止まりしているわけです。案の定、先日発表された消費者物価指数は予想を上回る上昇を見せており、インフレ再燃のシナリオに突入しそうな雲行きです。
つまり経済失速リスクが高いにもかかわらず、FRBは目先のインフレ退治に忙しく、適切な利下げが出来ないのです。
ウクライナ戦争はいよいよ停戦交渉が開始されました。早ければ4月20日、そうでない場合は5月9日に停戦ということが噂されています。既に軍需産業の株は過去1ヶ月でロッキード・マーチンが−10.27%、ゼネラル・ダイナミクスが−7.15%、ハンチントン・インガルスが−18.54%という感じで下げています。パランティアの業績は目下絶好調で、「良い決算」を出し続けていますがウクライナ戦争に絡むビジネスも沢山獲得しているので注意を払う必要があるでしょう。
ウクライナ停戦で恩恵をこうむる銘柄はコーエンサークル(CCIR)です。先日、ゴールドマン・サックスが同社株の6%を取得したという報告が証券取引委員会に提出されました。これは将来、ゴールドマン・サックスが同社とのビジネスを有利に進めるための準備だと思われます。コーエンサークルはウクライナ最大の携帯電話会社、キーウスターとの合併をすでに発表しています。合併の条件は今年上半期のある時点で決定・発表される予定です。その後、コーエンサークルの株主投票でこの提案が支持されたなら、晴れて合併という運びになります。なおキーウスターは現在ヴィーオン(VEON)というドバイ登記の会社に保有されており、上記の合併後も大株主としてキーウスターを継続保有すると思われています。
目先米国株は軟調な相場展開を予想します。3月に底入れした後、5月末までラリーし、「セル・イン・メイ」となるでしょう。7月から8月にかけて相場は出直るものの、8月と9月は再び軟調を予想します。
2025年末のS&P500のターゲットは6300を予想します。
2025年末のドル円は141円を予想します。
2025年末の10年債利回りは3.7%を予想します。
2025年末のフェデラルファンズ・レートは3.25%を予想します。
2025年末の失業率は4.7%を予想します。
2025年末の消費者物価指数は2.2%を予想します。
2025年末のGDPは+1.8%を予想します。
<推奨銘柄>
アリアンツ(ALIZY)