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次のホームランになる新興国を選ぶには

2024年12月4日 19:10

ジョン・テンプルトンは第二次世界大戦後の経済復興の真っ最中だった日本株に最初に注目した欧米の投資家です。

彼のミューチャルファンド(投資信託)は一時ポートフォリオの60%を日本株で固め、全米のミューチャルファンドでNo.1のパフォーマンスを獲得、それ以来、レジェンド、すなわち後々まで語り継がれる伝承のひととなりました。
 
彼が日本株に注目した理由は;
 
1.勤勉な国民性
2.不幸から立ち直ろうとする不退転の決意
3.コスト競争力がある
4.通貨が割安放置されている
5.株式市場のバリュエーションがべらぼうに安い

 
などでした。
 
勤勉な国民性
アメリカが週休二日制に移行したとき、日本はまだ土曜日も仕事していました。それだけでなく、日本のサラリーマンは平日もいわゆる「サビ残」して遅くまで仕事していました。テンプルトンは日本人の勤勉さに大いに感心し、日本株を好きになりました。
 
アメリカの場合、1930年代のいわゆる「大恐慌」時代、失業問題が深刻化したので労働力の供給を全体的に抑える意味で公正労働基準法(Fair Labor Standards Act)を1938年に定め、実質週休二日制となりました。
 
ひるがえって日本では長時間労働が経済復興の柱となり週6日制が一般的でした。高度成長期には(働けば働くほど経済が発展する)というのが常識だったので労働時間短縮の議論は進みませんでした。1980年代初頭に国家公務員を対象に月2回の週休二日制が導入されたのできっかけで企業や地方自治体でも試験的に週休二日制が導入されはじめましたが、ちゃんと法制化されたのは労働時間短縮促進法が成立した1988年です。
 
不幸から立ち直ろうとする不退転の決意
上記の勤勉さと関係するのですが、戦争や飢饉などを過去に経験した国は不幸から立ち直ろうとする不退転の決意を国民がもっている場合が多いです。それは生活改善への強い意欲があるということです。そういう国では労働市場の柔軟性が高く、ベトナムに代表されるようにひとつの仕事だけでなく複数の仕事をかけもちする人がいますし、バングラデシュの既製服縫製工場で働く人達のように新しいスキルの取得にハングリーな人が多いです。
 
ベトナム
バングラデシュ
フィリピン
カンボジア
ラオス

 
などの国民は特に勤勉です。全てではないですが、これらの国々の多くが戦火を経験している点は日本の戦後復興を彷彿とさせます。
 
コスト競争力がある
日本が奇跡の経済復興を遂げたひとつの理由は世界にくらべて敗戦後の日本の労働コストが低く、競争力があったためです。
 
その点、以下の国々の月給は;
 
バングラデシュ 98ドル
ベトナム 241ドル
インド 256ドル
フィリピン 239ドル
 
であり、コスト競争力があると言えるでしょう。およそ経済成長で一番カンタンなのは輸出を伸ばすということに尽きます。その点、これらの国は有利な立場にあります。さらにトランプ次期大統領が「中国、メキシコ、カナダに関税を課す!」と脅していますけれど、バングラデシュやベトナムは蚊帳の外です。これはそれらの国々はまだトランプのレーダー・スクリーン上に現れていないからであり、1980年代に日本が米国との間で激しい貿易戦争を繰り広げていて米議会が「日本叩き」をしていた一方で当時ノーマークだった中国が着々と力をつけていった経緯と酷似しています。いまは立場が変わり中国が批判の矢面に立っているわけです。
 
通貨が割安放置されている
日本は戦後1ドル=365円の固定相場制が1970年代初頭まで続きました。それがいわゆる「ニクソン・ショック」で変動相場制になり、その後の円高で日本の輸出競争力がだんだん削がれていった経緯があります。一般に、いま新興国の通貨は割安に放置されているところが多いです。これは輸出競争力があることを意味します。
 
株式市場のバリュエーションがべらぼうに安い
ジョン・テンプルトンが日本株に注目したときは、東京マーケットの株価収益率(PER)は6倍前後だったと言われています。現在、ベトナムのPERは12倍、バングラデシュは10倍です。