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Loser’s gameの概念を株式投資で実行する際に留意すべきこと

2024年11月30日 06:25

Loser’s gameとは「なるべくミスを少なくした者が勝つ」の意味で、インデックス投資の提唱者チャールズ・エリスが有名にした考え方です。

そもそも殆どのプロのファンドマネージャーがS&P500指数のような株価指数をアウトパフォームできないのだから、それならいっそのこと指数だけ愚直に買い足し続けるのがいちばん! というわけです。
 
この発想は一本筋が通っており、初心者にもわかりやすい概念なので、いまは投資の世界の常識として広く受け入れられています。そういう僕自身、自分の資産の過半数をインデックスで運用してきました。
 
しかし**「なるべくミスを少なくした者が勝つ」のであれば、株式市場全体が明らかに割高になった局面でS&P500のような株価指数を持っていたら取り返しがつかない失敗を犯してしまうかもしれないのです。
 
一例としてウォーレン・バフェットは彼の上場株ポートフォリオ部分(=バークシャー・ハサウェイは良いビジネスをまるごと買収し、非公開化することもしていますので、ポートフォリオ全体に占める上場株部分は小さいです)に限って言えば、いまはキャッシュポジションが約50%になっています。
 
つまり
バフェットのようなバリュー投資家は持ち株をどんどん処分する一方で「今日の米国株にはいまから買えるめぼしい銘柄は存在しない」と考えているのです。
 
そこで問題になるのが「本当に現在の米国株は割高?」ということですが、残念ながらこれは割高と言わざるを得ません。
 
S&P500指数の向こう12ヶ月の一株当たり利益(EPS)に基づいた株価収益率(PER)は22倍であり、これは過去10年の平均よりかなり割高です。しかもその過去10年の平均のデータの中には新型コロナで米国企業の利益が吹き飛び、結果としてPERが異常に高くなってしまった時期を含んでいるので、その「異常値」を除外した平均PERで物事を捉え直すと更に割高感が増します。
 
特に株式の適正バリュエーションを議論する際、現在の市中金利との関係に目配せすることは欠かせないチェック項目です。具体的には株式の益回り(=PERの逆数)を10年債利回りと比較する方法が有効ですが、トレーリング(=過去12ヶ月)のEPSに基づいた株式益回りと10年債利回りの「差」はいまゼロになっており、これは株式が明らかに割高だという警鐘を鳴らしています。
 
さて、米国株以外に目を向けると割安な水準で取引されている市場は沢山あります。だから
ポートフォリオのリスクを落とそうと思えば米国株一択ではなく、国際分散投資(=いわゆるオルカン)に切り替えるだけでバッサリと自分のポートフォリオのリスクを落とせるのです!
 
特に
新興国のアセットクラスはそのカテゴリーが登場して以来、いまほど割安に放置されたことは一度もありません。** 
なお、ここに特に注意を払うべきなのですが、そのように新興国株のパフォーマンスが劣後した最大の理由は米国の金利が高く、ドル高基調だったことによります。世界のお金が米国目指して一点集中したおかげで、それらの国々からは機関投資家の資金がごっそり流失しました。だから米国の金利が高く、ドル高であるうちは、どんなに新興国株が割安でもそれが顧みられることは無いでしょう。
 
だから早すぎる新興国株へのシフトは墓穴を掘るのです!
 
でも米国経済に翳りが見え、長期金利が下がり始め、ドル安に転じたら……そのときは「一本杉」のような突出したバリュエーションになっている米国株のリスクがとても目立ってしまうと思います。
 
そのタイミングで怒涛の新興国買いが始まるというわけです。でもそれはいまではありません!