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トランプ次期大統領が提案する関税強化に関する考察

2024年11月12日 17:57

前回トランプが大統領だった2018年に導入された対中関税は3,700億ドル相当の中国製品を対象とし最大25%の関税が課せられました。

その後、バイデン政権もこれを基本的に維持しました。

しかし今回はトランプが関税率を異次元の高水準(=たとえば200%)に引き上げると見られており前回よりインパクトが大きくなる可能性があります。
 
関税徴収プロセスではインボイス、パッキングリスト、原産地証明書を通じ通関業者が税関に輸入申告します。

必要に応じて現物検査実施、適用税率の確認、関税額の計算、即時納付、延納制度など事務手続きは煩雑になります。また細かいニュアンスが出る関係で貿易はスローダウンすることが懸念されます。
 
これまでのところ実際には少額貨物免税制度(de minimis)が存在した関係で、輸入品の70%近くは関税を課せられること無く米国に入ってきました。これは「$800以下の個人輸入は関税免除」という制度です。
 
SHEIN、TEMUなどの中国の越境EC企業がこの特例を積極活用してきました。しかし
少額貨物免税制度は廃止される予定
です。
 
仮に高い関税が導入されたとしてもそれが直ぐに増収につながるとは限りません。これは「ラッファー曲線」で説明できます。

第二次世界大戦の遠因になったとされるスムート・ホーリー関税法(Smoot-Hawley Tariff Act)は1930年6月17日に成立しました。
 
この法律は約20,000品目の輸入品に対して関税を引き上げ、平均関税率を約40%以上に引き上げました。これは米国史上最も高い関税率の一つでした。
 
スムート・ホーリー法施行後の貿易統計は明確に貿易の縮小を示しています。
 
 具体的な統計データを見ると輸出は1929年の52.4億ドルから1932年は16.1億ドルへと−70%を記録、一方輸入も1929年の44億ドルから1932年は13.2億ドルへ−70%を記録しました。
 
そればかりでなく66カ国が報復関税を導入、世界貿易総額は1929年から1933年の間に約3分の1に減少しました。
 
それは世界恐慌による全般的な経済活動の縮小と国際的な信用収縮につながりました。