バングラデシュの課題
2024年10月2日 16:21
8月5日シェイク・ハシナ首相が学生たちの反政府デモに屈するカタチで辞任、インドへ亡命しました。
今回の抗議デモで300人が死亡、1万人が怪我をしたと言われています。
学生たちは1971年のバングラデシュ独立(300万人の死者を出すジェノサイドでした)の際、帰還兵の子孫に公務員就職の枠(求人の3割)を設け、優先的に職を斡旋したことを不公平だと感じました。またそれは買票につながっていると考えました。
学生たちはハシナ首相を追放した後、マイクロファイナンスのグラミン銀行を創設したムハマド・ユヌス氏を暫定リーダーに指名しました。
いずれ選挙で新しいリーダーを選び、ユヌスはその人にバトンタッチする考えです。しかしそれがいつになるのかはわかりません。そういう不透明感はあるものの、庶民の大半は今回の政変を「良い方向に行っている」と感じているようです。
バングラデシュは1990年以降、衣料品の製造輸出で世界最貧国から脱却、今では一人当たりGDPでインドすらもしのぐところまで経済を好転させました。
しかし政治的混乱にともない衣料品の工場の操業もストップしがちで国際収支は悪化、IMFから47億ドルの支援を受ける必要が出ています。
あしもとの経済指標をサラリと紹介すれば;
インフレ率 10.5%
政策金利 8.5%
GDP成長率(前年比) 6%
失業率 4.3%
政府の財政赤字 −2.8%
政府の負債がGDPに占める割合 28%
経常収支 −1%
という感じです。
バングラデシュと言えば衣料品の輸出で有名です。

(出典:IMF)
それ以外の輸出品目への分散は進捗しておらず、貿易がGDPに占める割合は小さいです。

(出典:IMF)
バングラデシュ企業のガバナンスは弱く海外からの直接投資を検討する際、それがネックになって投資をやめる企業が多いです。

(出典:IMF)

(出典:IMF)
バングラデシュ中銀はインフレにもかかわらず政策金利の引き上げに手をこまねいてきました。

(出典:IMF)
投資家はそれを通貨安誘導政策だと捉えました。為替は常に売りプレッシャーを浴びました。中銀による為替介入が続いてきたのはそのためです。

(出典:IMF)
2022年以降、バングラデシュは南アフリカに次いで大きな為替安を経験しました。

(出典:IMF)
このため外貨準備の減少が著しいです。

(出典:IMF)
外貨準備のカバレッジはかなり薄くなってきています。但し政府の統計には捕捉されていない海外労働者からの送金があるのでタカ相場の見通しは下
のチャートから感じられるほどの危険性は実際には無いように思います。

(出典:IMF)
経常収支、金融収支を比較すると下のチャートのようになります。

(出典:IMF)
財政赤字と、それがどうまかなわれているかのチャートです。

(出典:IMF)
税収を付加価値税に依存しています。

(出典:IMF)
社会保障支出は小さいです。

(出典:IMF)
出稼ぎ労働者の送金に依存しています。

(出典:IMF)
食品価格のインフレに注意する必要があります。

(出典:IMF)
政府系銀行の自己資本比率が特に低いことが問題です。

(出典:IMF)
政府系銀行は焦げ付き比率も高いです。

(出典:IMF)
政府系銀行は儲かってないです。

(出典:IMF)
政府負債がGDPに占める割合はまだ低いです。

(出典:IMF)
非関税障壁が高いです。

(出典:IMF)
以上がバングラデシュの抱える課題です。