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バリュー投資

2024年7月20日 02:00

バリュー投資とは、企業の本源的価値に比べて株価が割安と判断された銘柄に投資する投資手法のことです。

具体的には、以下の点を重視します。

  1. 企業の収益力や資産価値が適正に評価されていない銘柄を発掘する。
    収益力の指標としては、利益率、キャッシュフロー、ROE(自己資本利益率)などを見ます。
    資産価値は純資産や時価純資産などで判断します。
  2. 割安と判断された株価水準より大幅に下落した場合に買い増しを行う。
  3. 中長期的に企業の本源的価値が適正に評価されるまで保有し続ける。
     
    つまり、バリュー投資家は企業の本質的な価値に着目し、その価値以上に株価が割安になっている銘柄を選別して投資を行うのが特徴です。
     
    企業の本源的価値を計算する際によく使われる指標には以下のようなものがあります。
  4. 純資産価値(NB)
    企業の資産から負債を差し引いた簿価純資産を基準とする方法。保守的な価値評価になる。
  5. 修正純資産価値
    簿価純資産に対し、時価評価された資産価値や無形資産価値などを加味した修正版。
  6. 利益価値
    将来の利益を一定の割引率で割り引いて現在価値を算出。利益の見込みが重要。
  7. キャッシュフロー価値
    将来キャッシュフローを割り引いて現在価値を算出。利益よりもキャッシュフローに着目。
  8. EBIT×倍率法
    営業利益(EBIT)に業界の適切な倍率をかけて算出。簡便だが倍率次第で変動する。
     
    簿価純資産にはのれん代が含まれている場合があり、その点は企業の本源的価値を判断する上で問題があると指摘されています。
     
    のれん代とは、買収時に支払った対価が取得した資産の時価純資産を上回った金額を意味し、超過収益力の源泉として計上されます。しかし、のれん代は将来の収益見込みに基づく主観的な金額であり、事後的に修正が入ることが多くあてにならないという指摘があります。
     
    そのため、バリュー投資家は以下のような対応を取ることが多いようです。
  1. 修正純資産価値を用いる
    のれん代を除外し、時価評価された資産価値のみを反映させる
  2. 利益価値やキャッシュフロー価値を重視する
    のれん代よりも、実際に生み出される利益やキャッシュフローを重視する
  3. のれん代の妥当性を個別に検証する
    のれん代の償却スケジュールや、含まれる収益力の根拠を精査する
     
    つまり、簿価のままではなく、複数の指標を用いて精査することで、のれん代の問題を回避する必要があると考えられています。
     
    バリュー投資が株価指数をアウトパフォームできるかについては、実証的な研究結果が分かれています。
     
    バリュー投資がアウトパフォームできると示唆する研究結果:
  • ユージン・ファマとケネス・フレンチの研究によると、簿価純資産倍率が低い(割安)銘柄のポートフォリオは長期的に市場平均をアウトパフォームした。
  • ジェシー・ライブ教授らの研究では、キャッシュフロー価値との乖離が大きい割安銘柄を選別すると、優れたパフォーマンスを示した。
  • 一方で、割高な成長株はアンダーパフォームする傾向が確認されている。
     
    一方、バリュー投資のアウトパフォーマンスに疑問を呈する研究も:
  • 1990年代以降、バリュー株のアウトパフォーマンスが低下している可能性が指摘されている。
  • データマイニングのバイアスが存在する可能性があり、実際の超過リターンは過小評価されているとの指摘も。
  • バリュー効果は一時的な逆張り現象に過ぎず、リスク補償として正当化できないとの意見も。
     
    総じて、バリュー投資には長期的にアウトパフォームする傾向が認められる半面、その効果の大きさや持続性については議論が分かれているのが現状です。投資手法の一つとしての有効性は一定程度認められつつも、確実に超過収益が得られるわけではないことに留意が必要でしょう。
     
    市中金利の水準によって、バリュー投資のパフォーマンスが変動する傾向があると指摘されています。
     
    一般的には、金利が低い局面でバリュー投資が良好なパフォーマンスを示しやすいとされています。その理由は主に以下の2点です。
  1. 割引現在価値の上昇
    金利が低下すると、将来の利益やキャッシュフローを現在価値に割り引く際の割引率が下がります。その結果、バリュー株の本源的価値が高く算定されるため、株価に対する割安度が高まります。
  2. 景気対策の恩恵
    金利が低下するのは通常、景気後退期や金融緩和が行われる局面です。そうした時期には、バリュープレイヤーがディフェンシブ色の強い割安株を選好しがちになります。
     
    実際、ファーマ&フレンチの研究では、金利が低い時期にバリュー株のアウトパフォーマンスが顕著だったことが示されています。
     
    一方で、金利が上昇期に入ると、バリュー株の割安度が低下し、グロース株にとって有利な環境になると考えられています。金利環境次第で、バリュー投資の優位性が変動する傾向があるようです。
     
    株価収益率(PER)が投資の尺度として利用価値があるかどうかについては、いくつかの議論があります。
     
    【株価収益率の利点】
    ・企業の収益力を簡便に把握できる
    ・企業間や業界間での比較が可能
    ・長期的に見れば、PERが低い株ほど投資リターンが高い傾向
     
    このように、PERは企業の収益性を表す基本的な指標として、バリュー投資家に活用されてきました。
     
    【株価収益率の欠点】
    ・過去の数値にすぎず、将来の成長性が反映されていない
    ・一時的な要因で収益が変動すれば、PERも大きく変わる
    ・収益の質による調整ができない
    ・のれん代などの会計上の問題がある
     
    PERは企業の本源的価値を的確に表しているわけではなく、将来の成長期待や収益の持続可能性が考慮されていないという指摘があります。
     
    このため、現代のバリュー投資家は、PERだけでなく、PBR(株価純資産倍率)、PCFRといった複数の指標やキャッシュフロー分析と組み合わせ、より綿密な企業価値評価を行う必要があると考えられています。
     
    つまり、PERは投資の一助にはなりますが、単独の絶対的な指標としては不十分であり、他の要素と組み合わせて総合的に判断する必要があるということです。利用価値はあるものの、その限界も理解しておく必要があります。