FIRE達成を大幅に前倒しするテク
2024年7月5日 19:30
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった言葉で、「経済的自立と早期退職」を意味します。
具体的には、以下のようなライフスタイルを指します。
- 生活費を大幅に抑え、収入の多くを貯蓄や投資に回す。
- 投資によって資産を築き、一定額の資産が蓄積されたら、会社を退職する。
- 蓄えた資産から生活費を賄い、自由な生活を送る。
つまり、通常よりも早い段階で会社を退職し、投資による不労所得で生活するというライフスタイルです。
FIREの目標は個人差がありますが、一般的には「年間生活費の25-30倍の資産」を蓄えることが退職の目安とされています。生活費を抑えれば目標金額は下がり、早期退職が可能になります。
年間生活費の25倍の資産があれば、その資産から毎年4%を引き出せば無期限に生活できるという計算になります。
具体的には:
- 例えば年間生活費が400万円だとします
- それならば400万円×25倍=1億円の資産を築けば良い
- 1億円の資産があれば、毎年1億円の4%=400万円を引き出せます
- この400万円が年間生活費に充てられる
この計算の前提は、長期的に年率7%程度の投資リターンが得られ、そのうち4%は引き出し、残り3%は再投資されてインフレ相殺などに充てられるという想定です。
ですので、年間生活費の25倍という目安は、年率で4%の引き出しを見込んでいるという理解で正しいですね。
長期的に年率7%程度のリターンを期待できるのは、主に米国株式市場における広範な株式指数です。代表的なS&P500の長期パフォーマンスを見ると、確かに年率7%前後のリターンが得られています。
一方で、日本株式市場の代表的な指数である日経平均株価(日経225)のパフォーマンスを見ると、長期的にはそこまでの高いリターンは得られていません。
具体的に、過去30年間(1990年代後半から現在まで)の日経平均株価のリターンは、年率で2~3%程度と試算されています。バブル崩壊後の長期低迷の影響が大きかったためです。
つまり、FIREを志す際に、日本株に投資をメインに据えた場合、年率7%のリターンを前提とするのは難しく、達成への期間が長くなる可能性が高いと言えます。
米国株中心のグローバル分散投資を行えば7%前後のリターンは現実的ですが、ホームバイアスを考えると日本株への投資比率も一定程度は必要になるでしょう。投資対象や比率によって、FIREに必要な資産額の前提条件は変わってくる必要があります。
東京で一人暮らしの男性の毎月の平均支出額は、具体的にはデータによってばらつきがありますが、およそ以下の範囲と考えられています。
【推定平均支出額】
20万円前後 ~25万円程度
この金額は、以下のような主な支出項目を想定したものです。
・家賃: 8万円前後(東京23区内)
・食費: 3万円前後
・光熱費: 1万円前後
・交通費: 2万円前後
・通信費: 1万円前後
・娯楽費: 2万円程度
・その他雑費
ただし、実際の支出額は、年齢、職業、生活スタイル、住居の広さなどによって大きくかわってきます。
例えば、高収入の場合は娯楽費などが増え、25万円を超える可能性も。逆に、節約を心がける場合は15万円程度に抑えられるかもしれません。
前提として: - 東京で一人暮らしの男性の平均支出が年間300万円(月25万円)
- FIREに必要な資産額は年間生活費の25倍
とすると:
年間生活費 300万円 x 25倍 = 7,500万円
この7,500万円の資産があれば、毎年7,500万円の4%(300万円)を取り崩して生活できるという計算になります。
この考え方が一般的なFIREの計算方法なので、東京の一人暮らし男性で年300万円の生活費を想定した場合、FIREを達成するための資産目標は7,500万円と言えます。
ただし、これはあくまで一つの前提に基づく単純計算です。実際にはインフレ率の変動や、長期的な投資リターンのばらつきなども考慮する必要があります。また、老後の医療費の増加なども勘案しないといけません。
そのため、安全サイドに立てば8,000万円以上の資産形成が理想的とも言えるでしょう。個人の生活スタイルやリスク許容度によっても、この金額は変動します。
もし日本株中心の運用で、リターンが過去30年の平均に近い年率2%だった場合、FIREに必要な資産額は大幅に増加します。
前提: - 年間生活費: 300万円
- 投資リターン率: 2%
この場合、年間生活費の50倍の資産が必要とされます。
計算すると:
300万円 × 50倍 = 1億5000万円
つまり、投資リターンが2%しか得られない場合は、1億5000万円の資産が必要になります。
一方、前提のリターン率が7%の場合は:
300万円 × 25倍 = 7500万円
で済んでいました。
投資リターンが低くなれば、同じ生活費でも引き出し可能な金額が減るため、より多くの資産を蓄える必要があります。
このように、FIREに必要な資産額は想定する投資リターンによって大きく変動します。
リターン率が低ければ低いほど、より多くの資産形成が求められることになります。
生活費を大幅に下げることができれば、FIREに必要な資産額も大きく減らすことができます。
例えばウクライナのリビウ市に住む場合を考えてみましょう。
リビウ市の一人暮らしの生活費を調べてみると、およそ月額5,000〜8,000グリブナ(円換算で約2万円前後)と言われています。
年間生活費にすると、 - 24万円 x 25倍 = 600万円
となります。つまり、リビウ市で生活する場合、600万円の資産があれば毎年4%を引き出し続けられるということです。
これを東京での例と比べてみると、 - 東京の年間生活費300万円の場合は7,500万円の資産が必要
- リビウ市の場合は600万円の資産で済む
と、生活費が約1/10になることで、必要資産額も約1/12にまで減らすことができます。言い直せばFIRE達成を大幅に前倒しするテクとして移住という手があるのです。
ただし、この場合のデメリットとしては、 - 文化の違いへの適応が必要
- 医療サービス、イノベーションなどの水準の違い
- 戦争の影響など、リスクが高い
などの点が挙げられます。
つまり、生活費を抑えれば確かにFIREは早期に達成できますが、居住地の選択次第では様々なトレードオフが発生する可能性があります。
金銭的なメリットだけでなく、生活の質や安全性なども考慮に入れる必要があるでしょう。