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日本政府はなぜ円安を放置する? インフレによるデット・ファイナンスは無責任極まりないやり方

2024年5月1日 01:39

日本政府が円安に対して鷹揚に構えている理由は、円安はインフレ促進要因だからです。

日本は、穀物の60%以上、肉類の50%以上、油脂類の50%以上を輸入に頼っています。総合して、日本の食料自給率は現在40%を下回っており、カロリーベースで38%程度となっています。

また日本はエネルギーの大部分を輸入に頼っています。具体的な数字を挙げると、2021年の日本のエネルギー需給統計によれば原油の99.7%を輸入しているほか液化天然ガス(LNG)の97.7%、石炭の98.7%を輸入に頼っています。

日本のエネルギー自給率は極めて低く、一次エネルギー供給に占める輸入依存度は約94%と非常に高い水準にあります。

原油価格はドル建てなので円安になれば輸入品の価格は上昇し、インフレを引き起こします。

しかし日本政府は**「インフレ願望」**とでも言うべき動機を持っています。

その理由は政府が過剰な債務を抱えている場合、わざとインフレを引き起こすことで、実質的に債務返済負担を軽減できるからです。なぜなら名目金利が固定されている債務の実質価値はインフレで減少します。例えば10%のインフレがあれば、元本の実質価値は10%減少します。このため、インフレによって政府は実質的に借り入れ額を減らすことがでるのです。

また名目GDP増加による債務GDP比の改善も指摘できると思います。インフレは名目GDPを押し上げますが、債務残高は名目ベースで変わりません。したがって、債務/GDP比が改善し、相対的な債務負担が軽くなります。

さらに**インフレ下では現金保有者から政府へ実質的な富の移転が起こります。**この増収により政府は債務返済原資を確保できるのです。

ドル円が現在の157円の水準と同じだったのは1990年まで遡らないといけません。その当時の日本10年国債の利回りは8.1%でした。すると現在の0.90%に比べて遥かに高金利だったというわけです。

高金利は政府のファンディングコストが高いことを意味します。いまは超低金利なので政府は楽々資金調達できます。これは**「国民に高物価を強いることで政府が債務をファイナンスしている」**ことに他なりません。

言い換えれば日本はアルゼンチンやトルコのような「ゆるふん」の金利政策によりわざと**「日本のチープ化」**を演出しているわけです。

しかしその咎めはいずれ日本経済を襲うと思われます。なぜなら年初から10年債利回りは0.60%→0.90%に上昇しているので、債券価格は逆に下落しているからです。それは日本国債を保有している金融機関は含み損を抱えている可能性があることを示唆しています。

いま金融機関が償還まで国債を持ち続けるのであればこの評価損は計上する必要はありません。しかしもし何らかの理由で国債を持ち続けることが困難になれば、ポートフォリオの値洗いを強いられます。

実はこれは去年カリフォルニアの地銀に起きた事であり、異変を察知した預金者が慌てて預金を引き出そうとした結果、取り付け騒ぎが起きてシリコンバレー・バンクが「あっ」という間に倒産したことは我々の記憶に新しいです。

円安はこのように金融システムを揺るがす要因になりかねません。

我々庶民にできることは**「生活防衛」**です。具体的には利子が殆どつかない銀行預金をすぐおろし、日本株とか米国株とかを買うことが正解です。

皆が生活防衛のために銀行預金をおろし始めると銀行経営は途端に不安定になります。シリコンバレー・バンクのエピソードと同じようなことが日本でも起きるリスクはゼロでは無いと思います。

兎に角、足元のインフレ率が2.7%なのに政策金利が0.10%という状態は異常であり、1998年頃に相次いで日本の金融機関が倒産したようなエピソードの再来を招くリスクがあります。