決算発表でオペレーティングEPSを使う理由
2024年4月26日 15:30
決算発表時に、オペレーティングEPS(1株当たり非継続事業除く当期純利益)を重視する主な理由は以下の通りです。
- 企業の中核事業の収益性を適切に表す
オペレーティングEPSは一時的な特別損益や非継続事業の影響を除外しています。そのため、企業の本業における収益力をより適切に反映しています。 - 継続性のある業績を示す
特別損益は一時的なものが多く、将来の業績を予測する上で参考にならない場合があります。オペレーティングEPSは一時的な影響を排除しているため、より継続的な業績動向を示しています。 - アナリスト予想との比較が適切
アナリスト予想はオペレーティングEPSをベースにしていることが多いです。そのため、オペレーティングEPSとアナリスト予想を比較することで、企業業績を適切に評価できます。 - 企業間の比較が可能
一時的な特別損益の影響は企業によって異なります。オペレーティングEPSを用いれば、本業の収益力を中心に企業間の比較が可能になります。
つまり、オペレーティングEPSは企業の中核事業の実力と継続性を表し、アナリスト予想や他社との比較にも適しているためです。投資家は企業の本源的な収益力を把握する上で、オペレーティングEPSを重視する傾向にあります。オペレーティングEPSは、必ずしもすべての企業の決算リリースに記載されているわけではありません。
一般的に、オペレーティングEPSを明示的に開示しているのは以下のような企業が多いです。
- 大手上場企業
- 特に一過性の損益がある程度発生しやすい業種の企業(金融、製造業など)
一方で、以下のような企業ではオペレーティングEPSが開示されないことが多いです。
- 中小企業
- サービス業や小売業などで一過性の損益が少ない企業
- GAAPベースのEPSしか開示していない企業
つまり、オペレーティングEPSの開示は企業の裁量によるところが大きく、必ずしも全企業に課されている開示項目ではありません。投資家は企業がオペレーティングEPSを開示していない場合、GAAPベースのEPSなどから持続的な収益力を手作業で算出する必要があります。
ただし、大手企業や損益の変動が大きい業種の企業ほど、オペレーティングEPSを重視し、自主的に開示する傾向にあります。企業規模や業種によって開示状況は異なるということができるでしょう。オペレーティングEPSが企業から直接開示されていない場合、個人投資家が独自にこの数値を計算するには以下の手順が必要になります。
- 企業の決算短信から一般的なGAAP(会計原則)ベースのEPS(1株当たり当期純利益)を確認する。
- 決算短信の損益計算書から、以下の一時的または特殊な損益項目を特定する。
- 事業構造改革費用
- 減損損失
- 訴訟関連費用
- 税制改正に伴う影響
- 子会社売却損益
- 投資有価証券売却損益
- 災害関連費用/保険金収入 など
- これらの一時的・特殊な損益の合計金額を計算する。
- GAAPベースのEPSから、上記一時的・特殊損益の影響額を控除(または加算)する。
- その結果が、おおよそのオペレーティングEPS(継続事業の核となる収益力)を示す数値となる。
つまり、企業開示資料から一時的な特殊損益項目を拾い上げて調整することで、個人投資家でもおおよその オペレーティングEPSを独自に算出できます。ただし、調整が複雑な場合は多少の誤差が出る可能性があります。
企業開示を補完する形で、こうした独自の分析を行うことが、オペレーティングEPSの精度を高めることにつながります。