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キャッシュフローの考え方 会計上の利益とは異なる

2024年4月25日 05:00

キャッシュフローとは、一定期間内に企業や個人が獲得した現金の流入と、費やした現金の流出の合計額を指します。

具体的には、以下のような項目が含まれます。

【キャッシュ・インフロー】

  • 製品やサービスの売上
  • 借入金
  • 投資の売却による収入

【キャッシュ・アウトフロー】

  • 原材料や人件費等の支出
  • 設備投資
  • 借入金の返済
  • 配当金の支払い

キャッシュフローが黒字(プラス)であれば企業は資金に余裕があり、赤字(マイナス)であれば資金が不足していることを示します。経営者は常にキャッシュフローを良好に保つ必要があります。

会計上の「利益」とは異なり、キャッシュフローは実際に企業に入出金があった現金の動きを表すので、企業の実質的な資金繰りを把握するための重要な指標となります。

米国の国税庁相当する内国歳入庁(IRS)にとっては、キャッシュフローの方がより重要であると考えられます。

なぜなら内国歳入庁は政府機関であり、営利を目的とした企業とは異なるからです。したがって、会計上の「利益」よりも、実際に徴収できる現金の流入、すなわち徴税に関心が高いからです。

具体的には、以下の点からキャッシュフローが重視されると考えられます。

  • 税収は政府の主要な現金収入源であり、徴収実績が重要
  • 利益概念よりも現金ベースの収支が分かりやすい
  • 予算編成時には、実際に見込める現金収入を基準にする必要がある
  • 国庫への現金流入がなければ、政策実行や支出にも支障が出る

一方で、発生主義会計による費用対効果の分析なども並行して行われていると考えられますが、政府機関としては現金の動きを正確に把握することが最も重要な関心事であるはずです。

したがって、内国歳入庁では会計上の利益概念よりも、キャッシュフローの動向に注目が集まると言えるでしょう。

ところで財務会計と税務会計には以下のような主な違いがあります。

【目的の違い】
財務会計 - 企業の財務状況を株主や債権者など外部の利害関係者に対して公正に報告することが目的。
税務会計 - 課税所得を適切に計算し、納税額を正確に算出することが目的。

【会計基準の違い】
財務会計 - 企業会計基準や国際会計基準に準拠。発生主義会計。
税務会計 - 税法の規定に従う。現金主義会計が原則。

【計上範囲の違い】
財務会計 - 全ての経済取引を対象とする。
税務会計 - 課税対象となる経済取引のみを対象とする。

【会計処理の違い】
財務会計 - 費用収益を対応させるため、減価償却や引当金など複雑な会計処理が多い。
税務会計 - 簡素な会計処理が多く、税法で認められる範囲に限定される。

【開示の違い】
財務会計 - 株主総会や有価証券報告書等で財務諸表を開示する義務がある。
税務会計 - 税務申告のみで一般には公開されない。

このように、財務会計と税務会計では目的や手法が異なるため、同じ経済取引に対しても会計処理が異なる場合があります。企業は両者を区別して適切に対応する必要があります。

一般にキャッシュフローの方が粉飾や操作が難しい理由は以下のようなことが挙げられます。

  1. 現金の動きは客観的な事実
    利益は会計上の概念であり、様々な会計方針や見積りが介在するため、一定の恣意性がある。一方、キャッシュフローは現金の実際の動きを示すため、客観的な事実を隠蔽するのは困難。

  2. 現金の動きは追跡可能
    現金の出入りは銀行口座の記録など第三者による裏付けがあり、改ざんや操作がされると矛盾が露呈しやすい。

  3. 現金フローには会計上の調整が少ない
    利益計算には減価償却、引当金、評価損益など、会計上の調整項目が多数関与する。キャッシュフローはそうした恣意的な調整がほとんどない。

  4. 現金の流出入は隠し難い
    架空の売上計上なども可能だが、現金の流出入を隠し続けるのは極めて困難。

しかし、一方でキャッシュフローにも一定の操作の余地はあります。例えば時期ずれの調整などです。また、企業買収時の資金調達の表示方法など、グレーゾーンもあるため、完全に操作が不可能とは言えません。

総じて利益の方が粉飾されやすいのは確かですが、キャッシュフローにも注意が必要です。利益とキャッシュフローの両方をクロスチェックすることが重要となります。

株式投資において、利益だけでなくキャッシュフローをチェックする理由は主に以下の3点があげられます。

  1. 企業の実質的な収益力と健全性を判断するため
    利益は会計上のさまざまな調整が加えられているため、必ずしも企業の実際の収益力を正確に表していない可能性があります。一方、キャッシュフローは現金の実際の動きを示すため、企業が実質的にいくら稼いでいるかを把握できます。健全な企業ほど、営業活動からの正味キャッシュフローが継続的に確保できます。

  2. 事業の成長性と投資余力を判断するため
    企業が事業拡大のための設備投資などを継続的に行えるかどうかは、利益はもちろん重要ですが、実際に投資に回せる現金が確保できるかがカギとなります。投資キャッシュフローが持続的に黒字であれば、成長投資への余力があることを示します。

  3. 債務返済能力や株主還元力を判断するため
    財務健全性を見る上で、借入金の返済能力が問われます。この点で、利払い前の営業キャッシュフローが重視されます。また、配当支払い原資としても現金が重要視されます。

このように、利益は重要な経営指標ですが、キャッシュフローは企業の実質的な収益力と財務健全性、さらには成長投資余力を判断する上で不可欠な情報となります。