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パラダイムシフトと根拠なき熱狂

2024年2月10日 15:47

パラダイムシフトとは社会通念が根本的に変わることを指し、トーマス・クーンが1962年に「科学革命の構造」で示した考え方です。ある時期に主流だった理論やモデルが新技術や新しい証拠の提示で駆逐され置き換えられることを指します。

具体的には1771年アークライトは水力で駆動される紡績機を発明しました。コットン(綿)の織物が従来の手作業よりずっと強い織り方を、しかも速く生産する手法でした。世界の人々が廉価で着心地の良い服を着ることができるようになったキッカケを提供しました。

**1829年ロケット号がジョージ・スチーブンソンとロバート・スチーブンソンにより設計されました。これは蒸気機関車の発明です。**具体的には多菅式ボイラーで水を温めやすくしました。さらに排気を煙突から出し、フレッシュな空気をボイラーに吸引することで燃焼効率を高めました。また動力を駆動輪へ直接伝える工夫をし、効率をUPしました。これは鉄道ブームを巻き起こし、それは1847年まで続きました。

英国の発明家ヘンリー・ベッセマーが1850年代に高炉で生産する銑鉄から不純物を取り除き、より均質で強度の高い鉄鋼を安く生産する手法を編み出しました。それをアメリカに渡ったアンドリュー・カーネギーが利用し、1875年からベッセマー法による鉄鋼生産を開始しました。ブルックリン橋に代表される橋梁や鉄道はこの鉄鋼が大きな役割を果たしました。

1908年ヘンリー・フォードがモデルTを発売、自動車ブームが始まりました。移動式アッセンブリラインにより自動車製造時間とコストが大幅に削減され、大量生産が可能になりました。庶民の手に届く値段で自動車が生産販売できるようになったので人々は郊外に住むことが可能になり、都市の発展の仕方に大きな影響を与えました。

1947年にベル研究所でウイリアム・ショックレーらがトランジスタを発明しました。これは壊れやすい真空管に代わる技術で電子機器の小型化を促進しました。1971年インテルが創業され本格的な半導体時代が始まりました。

1995年にインターネット・ブラウザーのネットスケープが株式公開し、それをキッカケとして一気にインターネットがブーム化しました。それまでコンピュータは独立した存在で、コンピュータ同士が情報を交換することは余り行われていなかったけれど、ネットを通じて世界のパソコンがつながったことで情報処理の効率がUPしました。

2022年11月にチャットGPTが無料公開されAIの便利さが一般のユーザーにも強く印象付けられました。AIは人間が普段しゃべっている言葉でコンピュータに質問することを可能にし、コンピュータに予め学習させておいた知識や情報を瞬時に返すことが出来るようになりました。

これらはパラダイムシフトの例です。パラダイムシフトは「古いやり方」を淘汰し、変化についていけない人たちや生産設備を不要にします。組織のデザインも変わります。新しい利便性をいままでとは全然違う廉価で提供するため、価格は下落します。それはその産業に従来の方法で従事していた労働者の賃金も下落する圧力をもたらします。

これらの技術革新の多くは資本を必要とします。投資家は超過利益機会への期待からイノベーションに殺到します。それは産業ブームを巻き起こします。場合によっては期待が先行し過ぎ、ユーフォリア、すなわち根拠なき熱狂へと発展します。

多くの試みが期待するほどの成果を生まなかったとき、それに対する失望からバブルが崩壊します。

それまでには旧体制が取って代わられる条件が整い、人々の仕事の進め方や社会・経済の構造は劇的に変化します。そしてその最後の仕上げとして法規制がようやく整います。