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インフレーションとは何か?

2021年10月23日 07:00

連邦準備銀行はインフレーションを「全体的な価格水準の上昇」という風に定義しています。ひらたい言い方に直せば、昨日まで100円していたものが101円、102円、103円という風に高くなってゆけば、それはインフレです。

なお、FRBの考えでは物価が高くなったり安くなったりすること、つまり上下変動を繰り返しているだけなら、それはインフレとは考えません。インフレと言うからには、ズンズンズンと価格水準が切り上がってゆく必要があるのです。

なぜ我々はインフレに気を付けなければいけないのでしょうか?

その理由はインフレになると自分の貯金で買えるモノやサービスが、昨日より少なくなるからです。いまあなたが100円しか持っていなければ、ある商品の売値が100円→101円に値上がりしてしまうと、その商品は買えないことになります。

このようにインフレは消費者の実質的な購買力を減退させてしまう効果があります。

普通、インフレは幅広い人々や企業に影響を与えます。消費者は生活防衛のために安物の商品に乗り換えることを強要されるかも知れませんし企業は材料費の高騰が利幅を狭めることを避けるため製品の値上げに踏み切るかもしれません。普通、中央銀行がインフレを抑え込もうとすると利上げなどの方法で世の中の金回りが良すぎる状態を抑え込みにかかることから、それが株安を招くことが多いです。それを知っている投資家は先回りして株を売ります。

**インフレは年金生活者など毎月一定の収入で生活している人を直撃します。**それらの人々はまず旅行に行くことを諦める、映画館で映画を鑑賞することを諦める、レストランで外食することを諦める……というような生活防衛の行動をはじめます。それでもインフレが荒れ狂う局面では食費を切り詰める、光熱費を切り詰めることを強いられるかもしれません。

インフレではモノの値段が値上がりするので、**借金して直ぐにモノを買った人が勝ちという側面があります。**住宅価格がずんずん値上がりする見通しなのであれば、いま借金してマイホームを買ってしまった方が有利です。後になってそれを買おうとしても、そのときはもう手が届かないかもしれませんから。

インフレの逆、つまり物価が下がる現象をデフレと言いますが、デフレ下ではその逆で借金してマイホームとか買わない方が良いです。なぜなら待っていれば将来もっと安く買えるからです。このようにデフレは現金を温存する生活態度を助長する傾向があります。それは需要を削ぎ、景気を不景気にします。

インフレの統計を取っている機関は幅広い品目の財やサービスの価格を「バスケット(かご)」として継続モニターしています。

そのバスケットには全ての商品が網羅されているわけではなく、代表的な品目が抽出してあります。いろいろなインフレ指標が世の中にある理由は、このためです。

そのようにして抽出された商品群から調査機関は価格指数を計算します。次にひとつの期間(base period)での価格が次にどう変化したかを継続フォローするわけです。

インフレ指標には沢山の種類がありますが、その中でいちばん幅広い価格指数がGDPデフレーターと呼ばれるものです。消費者物価指数(CPI)や個人消費支出(PCE)価格指数は、おもに家計部門に関わり合いの深い品目を追跡しています。

2012年1月に連邦公開市場委員会(FOMC)は「長期目標と金融政策策定に関する宣言」という声明文の中で「消費者物価指数で2%という水準が連邦準備制度の使命にもっともピッタリしたインフレ目標である」と述べました。デフレは経済の活力を削ぐばかりでなく低賃金の常態化や失職に対する絶え間ない不安などを通じ国民の心理にネガティブな影響を与えます。インフレ率が「0%」でも企業の経営者は余り積極経営には打って出たくないでしょう。インフレ率が2%くらいなら新規採用を増やすとか設備投資を増やすなど、経営者のマインドを大胆にする効果があります。つまりインフレ率0%より2%のほうが、経済がすべて上手く回るわけです。

FRBが2%というインフレ率を目標にしているのは、そのような事情によります。