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中国の社債市場について

2021年10月20日 07:00

過去10年間に中国の社債市場は急速に発展しました。2020年末の時点でその市場規模は5.8兆ドルにも上っています。米国に次いで世界で2番目に大きな社債市場となっています。

中国の社債は新しいアセットクラスとして世界の投資家にとってだんだん重要な投資対象となりつつあります。ドル建て中国社債はオフショアの中国企業の投資先として重要な機会を提供しています。

一方、中国国内の社債市場はオンショア・マーケットと呼ばれることもあるのですが、主に中国国内の投資家がその買い手となっています。

過去5年の間、中国の当局は外国機関投資家に国内市場の門戸開放をすべく法整備に取り組んできました。中国の社債がブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・アグリゲート・インデックス(BBGA)に代表されるグローバルな指数に含まれるようになったので、外国の機関投資家も積極的に中国の社債を組み入れるようになっています。しかしオンショア市場の国際化は未だ端緒についたばかりであり、外国機関投資家は主にソヴリン格の債券を中心に組み入れています。

社債市場までなかなか外国機関投資家のマネーが回ってこない理由は取引市場の分散で出来高が薄く自由にトレードしにくい点、マーケットメーカーが細分化しており、安定した仲介を期待しにくいこと、流動性に乏しく自分が売却したいときにサクサク処分できにくいこと、償還期限が長い社債が比較的少なくポートフォリオの構築が難しいこと、建値に透明性が無いこと、Bid/Askが時として信用置けないこと、クレジット分析の調査レポートが表層的で余り役に立たないこと、デフォルト時の社債投資家の保護が不確実なこと、債権者の権利行使が確実に行えるかわからないこと、レポ市場、クレジット・デフォルト・スワップ市場が未成熟であることなどの問題を抱えていることによります。

それを断った上で2010年の時点では限りなくゼロに近かった中国の社債市場は、わずか10年で5.8兆ドル市場まで急成長し、ソヴリン格債券市場(10兆ドル)と合せれば16兆ドル近い市場を形成するまでに至りました。

5.8兆ドルの社債市場のうち金融機関の社債は2.1兆ドルです。残りは工業セクターが2.3兆ドル、公益企業が3420億ドル、不動産会社が3246億ドル、エネルギー企業が2252億ドルなどとなっています。

外国の機関投資家が中国の社債市場に投資するには3つの経路があります。

第1番目はQFII(適格外国機関投資家)の投資枠を利用するという手法です。これは2002年から始められた比較的古い制度で未成熟な国内市場を保護しつつ、段階的に外国へ開放するための措置でした。その後、2011年にRQII(人民元適格機関投資家)の投資枠が追加されました。QFIIでは一定期間の反対売買を制限する規定があったのですが、それは近年緩められています。

第2番目はCIBM(中国銀行間債券市場ダイレクト取引)で、トレードをしたいと思う外国の機関投資家が中国人民銀行にその旨を登録し、国内銀行を受渡エージェントに指名することで許可を得ます。

第3番目は2017年から始まった新しい試み、ボンド・コネクトと呼ばれる経路で、中国人民銀行と香港金融管理局が協力して海外の機関投資家が中国の社債を購入したい場合、香港の金融機関を経由して注文を執行することを可能にしました。