天然ガスの需給が引き締まっている理由
2021年10月9日 18:02
天然ガス価格が2014年以来の高値をつけています。新型コロナ禍が一巡、経済再開でエネルギーへの需要が高まっている事もその一因には違いないのですが、今回の天然ガスの相場は厳冬などの要因ではなく、むしろエネルギー市場の構造変化によるところが大きいです。
2019年の世界のエネルギー消費は581.5エクサジュールです。このうち石油が192、天然ガスが141、石炭が158エクサジュールを占め、最も重要なエネルギー源でした。
地球温暖化ガスの観点からは、石炭は1Btu当り228.6ポンドのCO2を排出するのに対し天然ガスは117.0です。つまり天然ガスのほうが遥かにクリーンというわけです。
いま中国はCo2の排出を抑制しようとしています。そこで国内でもとりわけ劣悪な炭田を閉鎖し天然ガスへの切り替えを始めています。

中国の石炭の消費量は世界でも突出して多いため、ほんの少しそれを減らし天然ガスなど他の燃料にシフトするだけでも他へ与える影響はきわめて大きいです。
今回の天然ガスの相場は、この中国のシフトに影響されているのです。
かつて天然ガスは主にパイプラインで生産地から消費地へ輸送されていました。それはおいそれと仕向け先を変更できないことを意味しました。また遠距離だとパイプライン敷設費用が嵩むので非効率でした。
液化天然ガス(LNG)は気体である天然ガスを冷却することにより液体にし、体積を小さくした上で、それをタンカーに積み込んで消費地まで運び、そこで再び気体に戻してやることで仕向け先の自由度を確保し、遠隔地の顧客とも取引できるようにする試みです。
このLNGを最近中国は積極的に買っています。
LNGは大掛かりな装置を必要とするため、大部分は生産者と顧客が長期契約で条件をロックインすることで採算を確保します。だからスポット市場で自由に取引できる玉は少ないです。その薄商いの天然ガスを中国はスポット市場でガンガン買っているのです。
最近、LNGのスポット価格が急騰している背景にはこのような事情があります。