連邦債務上限引き上げ問題について
2021年9月21日 21:21
連邦債務上限は1917年に米国が第一次世界大戦へ参戦を決めた時、議会が無制限な戦費の発生を抑制する意図で設けた新発債発行上限です。
これまでに連邦債務上限は80回近くも引き上げられてきました。
新型コロナ禍が発生した2020年に議会は一時的に連邦債務上限の制約を取り払うことを決議しました。これは1年間だけの時限法案であり、この特例は2021年7月31日で終了しています。
そこで速やかに新しい連邦債務上限の拡大を可決しなければいけないのですが、今はまだそれが出来ていません。
当座は応急措置を取ることで債券の償還、退役軍人の恩給、社会保障費、連邦政府の職員の給与などの支払いを行っている状況です。
しかしそのようなやりくりには限界があり、10月に応急措置で対応できる分を使い果たしてしまうと政府機能の一部停止やテクニカル・デフォルトを招くリスクが高まります。
当初、連邦債務上限の引き上げは現在審議が続いている3.5兆ドルのインフラストラクチャ法案の中に盛り込まれるという観測がありましたが、上院民主党はそれをインフラストラクチャ法案とは切り離して考える方針を打ち出しました。
2011年に連邦債務上限引き上げ問題を巡って議会が紛糾した際は7月から10月にかけてS&P500指数が-18%も下げました。
ジャネット・イエレン財務長官はウォールストリート・ジャーナルに対する投稿で「議会は早く連邦債務上限を引き上げなければ10月のある時点で政府は必要な支払いに応じられなくなる」と訴えました。
そのシナリオでは数日間のうちに100万人を超える米国民が日々のやりくりに困り、5000万人の年金生活者が年金を受け取れなくなると指摘しています。軍人への給与の支払い、児童のいる家庭に対する補助金、災害の援助金などもストップします。また米国債の償還に応じることが出来なくなり米国はテクニカルにデフォルトします。